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日本オープンゴルフ選手権競技 2021
友情と涙とアルバトロス。祝・先週初V!! ナショナルオープンにまつわる杉山知靖の思い出
1歳上の杉山は稲森を「マイブラザー」と呼び、弟分の稲森には親しみを込めて「スギちゃん」と呼ばれる。
毎オフは、稲森の実家が営む鹿児島県の練習場に身を寄せて、共に調整を重ねる。
”先生”は6年連続フェアウェイキープ1位の稲森のほうだ。
「スギちゃん、ティショットは漠然と打っちゃダメ」と、250ヤード先のネットにつるされた小さな距離看板の的に向かって何球もバシバシと当ててくる。
「佑貴には、何かを狙って打つ大切さを教えてもらった」と、杉山は感謝する。
ツアー初優勝も稲森が先で、それが18年のこの「日本オープン」だった。
前年のQTサードで失敗していた杉山には当時、本大会の出場権はなかったが、予選会から勝ち上がり、アマ時代の2013年に日本アマ2位の資格でプロの試合に初出場して以来となる大会2試合目を果たしていた。
予選落ちだったが、初日の14番で「人生初」というのアルバトロスを達成して、自身の地元神奈川県の横浜カントリークラブで行われた83回大会を賑わせるなど、「僕にも一生、忘れられない特別な思いがこの日本オープンにはあります」と、杉山は言う。
最終日にはわざわざ会場に戻り、ジュニア期から仲良しの時松隆光らと一緒に、稲森の初優勝を祝った。
今年86回目の伝統のナショナルオープンには、仲間との記憶がいっぱい詰まっている。
時は過ぎ、昨年は稲森がまたこの「日本オープン」で、通算2勝目を達成。
そして先週の「ブリヂストンオープン」では杉山が、ツアー初優勝を飾った。
先週前夜、電話をくれた稲森は「明日は18番で待ってるよ」と、3年前のお祝い返し。約束どおりに派手な水シャワーで祝福してくれた。
「想像していた以上の水量をありがとう」と、肩を抱き合い喜び合った。
先週の初優勝できゅうきょ出場権を得た今週は、かけがえのない仲間と偉業に挑める。
「歴史もありますし、みんなが勝ちたいと目指している大会。僕にはまだまだとは思いますが、しっかり調整して1打1打に集中して、それがいい結果になればいい」と、12日火曜日の事前会見で意欲を述べた杉山。
月、火曜日を利用して、お世話になった方々にV報告をしてから来たから練習ラウンドは、開幕前日の13日水曜日にたっぷりと。
春先に、2日をかけて下見に来て以来という今年会場の琵琶湖カントリー倶楽部は、当時はまだ改修中の気配を残していたが、そこからどれだけ様変わりしているか。
「日本オープンはフェアウェイが狭く、ラフが深く、グリーンが硬いという印象。普段のトーナメント以上にタフなセッティング」と、覚悟はしてきた。
V翌日に、戦勝報告に帰った所属先「レイクウッドゴルフクラブ」はお祝いで届いた胡蝶蘭で埋め尽くされた。
「お花畑みたいになっていて。それでようやく実感できました」と、メンバーのみなさんに感謝。
コース理事長から受けた祝辞には、胸を打たれた。
「技術的には他の子たちと大差なかったが、君の人柄に惚れ込み、君を選んだ。信じて応援してきて、本当に良かった」と、涙ながらに言ってくださった。
週を開けずに、ますます期待に応える。