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日本オープンゴルフ選手権競技 2021

琵琶湖にいても心はアメリカ。小平智のもどかしさ

笑顔に潜むもどかしさ©JGTOimages
体は琵琶湖だが、心はアメリカにいる。
小平智が繰り返す。
「僕は戻る気でいますので。なんにも薄れていないので」。

16番で12メートルのイーグルを獲っても、通算10アンダーまで伸ばしても「手応えはない。来年とか、来週を見据えると、ちょっと足らない」。

スポット参戦で出た18年の「RBCヘリテージ」で日本人5人目の米ツアー優勝でレギュラー入りしたが、今年はランク150位で無念のシード落ちをした。

二部の「コーンフェリーツアー」からの復活を迷わず決意し、いったん戻った日本で先週から再びその準備を始めたところだ。

その2戦目は、2015年に優勝も飾っている思い出の日本タイトル戦だがここでもよぎるのは、、次週に控える「ZOZOチャンピオンシップ」も含めた”主戦場”のこと。

「予選カットだったり、優勝スコアだったり、コースを見てこれくらいだろうとイメージして、それに向かって頑張る感じ」と、常に米ツアーを基準に据えながら戦っている。

首位とは、わずか1差の決勝ラウンド進出でも「日本だとこの位置でも向こうだと20位か、…30位くらい」と、納得できない。

「この2日間でいうと、たぶん向こうだったら16とか17アンダー出てると思う。カットで言うと6とか5アンダーとか。…もっと行くかな?」。

首位のスコアも、予選通過のラインも、この3年あまりで揉まれ続けて身にしみついた米基準。
安穏としておれない。
「1試合、1試合全力でこなすだけ」。

ただし、久々に日本のファンの前で魅せるプレーは格別だ。
「ファンの方も、たぶん今まで見れないストレスがあったと思う。その中で、みんなで良いプレーをしてファンの方を喜ばすことができれば」とこの日も手嶋多一(2001年)と池田勇太(14、17年)の歴代覇者3人のペアリングで、技と経験を持ち寄り観客を魅了。

14年大会では、小平が池田に1差で敗れ、15年は小平が池田を1差のリベンジを果たした。
ラウンド中にもそんな話になり、「勇太さんは、その時が20代最後の優勝だったと。そこからそんなに経ったんだと。自分もその分、歳を取っている」と、互いの成長を実感できた。

「ここでまた予選ラウンドで良い勝負ができて。勇太さんも変わっている部分があったし、僕も変わった部分を見せられたかな、と感じる。最終日にまた良い争いができれば」と再戦を誓い、「僕もできるだけ上位争いしてファンやスポンサーの皆さんに良いところを見せたいです」。
日本ツアーでしか計れない物差しもある。

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