先週のV会見で、ベテランの谷原秀人の口からふいに名前が飛び出した。
「石坂くんはほんといい子。いい子すぎて心配になります」と、息子を気にかけるお父さんみたいな顔で言っていた。
あとで、報道を見た知人から連絡があった。
「谷原さんが僕のことを話してくださった、って…。驚きましたし、本当にありがたいな、って」と、恐縮した。
スタッフへのメールの返事の冒頭には、必ず「おはよう御座います。お世話になっております」と、時候の挨拶をつけてくる。
あんまり丁寧すぎて、先輩プロから「挨拶は1回で大丈夫だよ」と、よく言われる。
まじめで律儀な22歳。
ルーキーシーズンの石坂友宏が突然、名前を売ったのが昨年の今大会だった。
金谷拓実と史上初の学生プロ同士のプレーオフで、2位に。
「なんであんなに良いプレーができたのか…。自分でも去年はびっくりしました」と思いにふけったこの日は開幕前日のプロアマ大会。
新人ながら、欠員が出た際の補欠に選ばれ待機中に、合間を縫って18ホールの練習ラウンドをこなした。
「あまり調子が良くないので不安ですし、コースが本当に難しい」と、うめき声をあげながら「改めて思いますけど、ここは本当に素晴らしいコースですね」と、ニッコリした。
昨年の最終日も、負けて悔しいはずなのに、スタッフや関係者が控えるプレハブ小屋に一軒ずつ顔を出して、プレーオフで時間が延びてしまったことを、わびて歩いていた。
「いえいえいえ…。僕なんか全然、ちゃんとできてないんですけど」と、全力で謙遜しながら、関東ゴルフ連盟で活躍したジュニア時代の思い出話を少し。
「代表に選ばれて、役員の方々に、挨拶とかを凄く厳しく教えていただいたんです」。
また、まだアマチュア時代に出たプロの試合で、「先輩への挨拶は、どれだけしてもしすぎることはない」と教えてくれたのは星野陸也。
「おかげさまで、今では先輩のみなさんともそれほど緊張しないでお話できるようになって、片山さんとか、谷原さんとも、普通に話しをしている自分に、逆に不安になることがあります。こんな凄い方々と、お話ししててもいいのかな、って」と、真顔で言った。
今週、バッグを担ぐのは、日本ウェルネススポーツ大学で2年下の松岡正士(まつおか・まさひと)さん。
「僕もプロになります!」と宣言する後輩の前で、2年連続の活躍を見せたい。
また先週の女子「伊藤園レディス」で、9打差のぶっちぎりV10を演じて賞金1位を走り続ける稲見萌寧さんは、大学同期だ。
「もう、ただただ凄い」と、すぐにお祝いメールを送ったらサラっと「ありがとう」と、返事があった。
「僕の今週の目標は、去年できなかった優勝。今年はそのためにも、まずはしっかり予選通過を目指します。去年は無観客でしたが、今年はお客さんに見ていただけますので。その中でどれだけできるかにも挑戦してみたい」。
偉大な同級生にも、時をおかずに祝い返しを受けてみたい。