記事

青木功トークショー④

<日本男子ツアーの現状と、これから>

大西:去年はね、男子ツアーが女子に視聴率やらなんやら持っていかれてしまって。どうしたら盛り返せるか、ヒントをくれない?

青木:僕とジャンボがやってたときみたいにね、今の子たちには荒々しさがないですよね。見に来てくれる人たちにこれだっていうのを、見せてくれないような気がするね。ミスして、怒ってクラブで芝を叩くくらい、時にはエキサイティングしたっていいんじゃないか。そのあとにちゃんと、叩いた箇所は直すとか、そういう配慮を忘れなければね。真剣にプレーして、それでマスコミに叩かれたとしても、会場で自分がやることくらい、自分の意志を通せって言いたい。そうでないと、まだまだ藍ちゃんやさくらには負けちゃうかな、って思うね。
あと、よく解説するときも言うことなんだけど、いま、賞金王って、1年以上続かないでしょう。それじゃあ、ブームにならない。たとえば片山なんかも、今年賞金王になったなら少なくとも2年連続してとって、「よし、次は俺だ」っていう流れが出てこないと。女子は、藍ちゃんにしてもさくらにしても、不動に対して挑戦していってるでしょう。今の男子はそういう目標がないんだね。

大西:青木さんの時代は、1973年から1981年の9年間に青木さんが5回で、ジャンボさんが3回賞金王。たとえばAO時代、またいまの女子でいえば不動さんがずっと賞金王で、それに若手が立ち向かっていく、みたいな流れがないんですね。

青木:でも、そういう流れを作っていくのは結局は、選手たち本人次第だからね。

大西:あとは、コースセッティング。日本のツアーでいま、こういうセッティングあったらいいなあ、っていうのありますか?

青木:そうだねえ、たとえ距離は短くても見てるほうがたのしめる。飛んでも飛ばなくても、パットやアプローチで魅せるとか、技術が堪能できるコースがいいね。
あと、ピンの位置でいうとね、選手ってピンの位置を振れば振るほど真ん中に打ってくるもんなの。だからいちど、思い切ってピン位置を真ん中にしてみたら面白いと思うんだけどなあ。きっと、みんなどこを狙っていったらわからなくて、途方に暮れると思うよ。

大西:あと、トーナメントでタバコ吸うシーン、あれはどうですかね。昔は、アメリカでももけっこう吸う選手は多かったし、ジャックも昔は吸っていたけど、コースで吸ってるシーンを撮られてからは、コースでの喫煙をやめている。

青木:コースで吸うのは確かに、あまりいい光景じゃないね。おおっぴらに吸わないとか、配慮は十分にすべき。あと、逆にマスコミのほうでもね、吸ってるシーンは撮らないとか、控えてほしい、と思うことはあるよ。
お互いに、ギャラリーやスポンサーの協力があって生活させてもらってるって意識が、もっと出てくるといいよね。

大西:あと、青木さんはジュニア育成にも熱心だけど、現状について思うところはありますか?

青木:沖縄のコースって、夕方からジュニアに開放してるんだよね。そういうのがもっと広がっていけばいいよね。
あと、ジュニアのご両親に言いたいのは、もうちょっと自由にさせてあげてってこと。レッスン途中によく、チラチラ親の顔を見る子が多いんだけど、それって、あんまり良い光景じゃない。
子供でも、いいことはいい、悪いとこは悪いって自分で判断できるのに…。もっと自主性を信じてあげてほしいな。失敗したくやしさとかは、子供たちのほうで勝手に覚えてほしいと思うよ。いまは親のほうで、ガードしすぎてる感じがする。

大西:この40年間、世界を飛び回ってきた青木さんですが、最後に、これからの目標や夢を教えてくれますか。

青木:もちろん、アメリカでもまだまだ目標を持ってがんばっていくつもりだけれど、これからは日本にも目を向けて、昔勝ったコースに行って何試合か出場してみたいな、とも思ってる。
日本ツアーが盛り上げるには、個々の選手たちの気持ち次第なんだけれど、これからは僕ももうちょっと試合を見て、アドバイスできることはしてあげたいな〜ってね。選手たちにも、こういうふうにしたほうがいいよ、と感じたことは言ってあげたい。
男子ツアーも多分、今年は頑張ってくれると思うんだ。僕にも、盛り上げられる機会があれば、どんどん協力していきたいな、と思っているんですよ。

関連記事