しかし、悲願の優勝はまだ。
初めて韓国とアジアと日本で行われた2019年大会から、3年ぶりに3共催で復活する今年はそういう意味でも良い機会だ。
「優勝で喜んでいただきたい、と本当に思っているんですけど今の状態では…」と、口ごもる。
プロ転向の2007年に母国韓国ツアーで新人・賞金王に輝き、日本ツアーは08年から参戦して通算14勝。
2010年に韓国勢初の賞金王に就くと、15年に2度目の戴冠。日韓両ツアーで無類の強さを誇った通称「鬼」は、コロナをきっかけに躓いた。
2021年4月の国内開幕戦で罹患し、41度の高熱と、平熱後は肺炎を併発して20日間も入院。
その後も体力はなかなか回復せず、韓国で復帰しても後遺症に悩まされて今春、今度は練習中にあばらを骨折。
ケガは治ってもその影響か、今は背中の痛みで、以前のようなショットができない。
「僕はドローボールなんですけど、かばって今はフェードしか打てない。飛距離も落ちるし、思うようにゴルフができない」。
いくつか医者にかかったが、痛みの原因はいまだ突き止められずにいる。
大会初制覇も声高に言えない現状の中にも懸命に好材料を見つける。
大会初の日本開催が、ここ奈良県のKOMAカントリークラブで行われることは、キョンテにも嬉しい。
「今まで何度も回ったことがありますし、レイアウトが好きなんです。優勝はムリでも、4日間しっかりとプレーして、ここで良いゴルフがお見せできればと思っています」と、精一杯力をこめた。