プロ14年目の小林伸太郎(こばやし・しんたろう)が、地元群馬で発足したJGTO主催、選手会共催の新規試合で悲願を達成した。
24年ぶりに復活したポイント制の競技で4日間通算41点。
「派手ではないが、ボギーを打たないのが僕のゴルフ。競技方式と合っている」と、最初ににらんでいたとおりに4日間で叩いたボギーはわずかに5個。
失点を最小限にとどめて、ツアー初勝利をつかんだ。
2位と6点差の単独首位から出た最終日は、9番、10番の連続ボギーが窮地にも見えたが、10番の3打目は実はバンカー目玉。
「あそこで、上手く出せてダブルボギーにしなかったのが大きい」と、ターニングポイントとなった。
群馬県高崎市で生まれ、会場がある隣の安中市にも3年間の居住経験があり、会場のTHE RAYSUM/ザ・レーサムは幼少期から回り慣れた庭。
朝の練習場で「今日は行ける」と、予感したとおりにこの日は1日通してショットも安定。
不運なキックでグリーンをこぼしても、根っからのクラブオタクがこだわり抜いた50度と55度のウェッジから放つロブショットも絶妙。
起伏のあるグリーンを攻略し、初日から勝手知ったるマネジメントが光った。
10歳でゴルフを始め、栃木県の佐野日大高校3年時に「日本ジュニア」制覇。
東北福祉大3年の2007年「日本アマ」では当時、会社員アマだった田村尚之(現在はシニアプロ)との41ホールに及ぶ激闘をチップインで制して優勝した。
期待を集めて2009年にプロ転向したが、最初は出場権すらつかめず、やっと2016年に獲得したシード権をすぐ翌年に喪失するなど紆余曲折もあったが、「今までの経験が、今日は凄く生きたと思う」。
特に、自身初の最終日最終組を戦い、2位に敗れた2016年の「マイナビABCチャンピオンシップ」で目の当たりにした片山晋呉のゴルフを教科書にした。
まだ形勢が読めない6番でのベタピンバーディや、5点差で入った16番のパー3は、「回りの選手がまだ全然諦めない顔をしていたので隙を見
せないように。狙っていった」と、9アイアンでピン2.5メートル。
先に、長いバーディトライを沈めた同組の大岩のガッツポーズを見ながらチャンスを入れ返すと、次の17番パー5では、だめ押しの連続バーディ。
「あのとき、片山さんにも言われた。今日は“伸太郎の日”と相手にも思われせられるように。主導権を握るゴルフができたと思います」と、愛する地元で有限実行の逃げ切りVだ。
「やっと勝てたという気持ちで一杯。生まれ育ったこの地で勝てたことが本当に嬉しいです」。
喜びも覚めないままこの足で、今夜は秋の地元「あんなか祭り」だわっしょい!