31歳の今年、プロキャディの道を歩み始めた伊藤さんは、小林を担いだ今年6月の「ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント」で“デビュー”し、それから3戦は他の選手で経験を積み、5戦目の今週みごとに“初優勝”。
スピード出世だ。
今大会では、小林が好物というコカ・コーラをキャディバッグに常備。
「ピンチのときはコーラを飲んでリフレッシュしましょう、と言ってくれて。すっきりラウンドすることができました」と、小林も感謝していた。
「光栄です」と、恐縮していた伊藤さんには、JGTOから開催コース「THE RAYSUM」のラウンドプレー&宿泊券(ペア)を贈呈した。
ネット中継ABEMAの視聴者のみなさんの投票で決まるベストリアクション賞は、地元での初優勝が何にも勝る決め手となった。
「特に、僕はシードを落とした時に、ABEMAツアーに出させていただき、シード復活のきっかけを作っていただいたので。ABEMAさんの生中継で地元優勝をさせていただくことができてとても嬉しいです」と、戴冠に頭を下げていた。
車で15分の高崎市に生まれ、会場となったお隣の安中市にも3年住んだ。
コースを出てすぐのところにあるゴルフレンジは、10歳でゴルフを始めたときから馴染みの練習場だ。
「僕が遅くに授かった子でしたので。サッカーや、野球はつきあえないからゴルフ場に連れてくか、と父親と一緒に行ったのがきっかけです」と親子三脚は始まった。
「学校から帰って、御飯を食べて、両親の送り迎えで夜11時まで練習して。父と母がゴルフの道しるべになってくれた」と、感謝する。
今週も、毎日ロープ際で熱心に見守る父・光治(みつじ)さんの姿があったが、母親の喜代美さんはすでに7回忌も過ぎた。
「僕がレギュラーツアーに出始めたころに亡くなって、母には初優勝を見せることはできなかったですが、今日も緊張したときに、応援してくれる父や、他界した母にも優勝したよと伝えられるように、という思いが精神の安定につながった」と、明かす。
「ギャラリーのみなさんが味方についてくださると、孤独じゃなくなる。顔なじみがいっぱいいて、頑張れと言ってもらえると、これだけ応援してもらっているのに負けるわけにはいかないと思って頑張れました」。
沢山の恩人に祝福される息子の姿をお母さんもきっと見ている。