あれは2年前の2021年。
その年も、2日目の金曜日にひどい雨と風でサスペンデットになったが、こらえて最後は6位のトップ10入り。
「こういうときに、耐えて回れば上に行けるという良い記憶があった」と、この日は「69」の2アンダーで回りきり、暫定の3位タイに。
「僕は難しいコースのほうが好き。今までも結果が良かった」と、狙いどおりの急上昇に、端正な笑顔がこぼれた。
2019年から2年の兵役から戻ると、世界は激変していた。
コロナで行き来が困難となり、「韓国か、日本でプレーをするか」。
ヨンハンも選択を迫られた。
折しも、韓国ツアーの試合数が激増し、賞金額も軒並みアップ。
環境が整ったことも手伝い母国選手の多くが国内にとどまる中で、「日本ツアーが好きだし、今までとてもお世話になったから」と、ヨンハンは来日を決断。
昨年は、シーズン終盤までトップ10なしと手間取ったが、シード権争いの最終戦「カシオワールドオープン」の6位で土壇場のシード権を確保した。
9シーズン目を戦う今年は「ちょっと寂しい・・・」と、本音もこぼれる。
たとえば、2017、18年に日本で戦う韓国勢は、30人を優に越えたが、今年はヨンハンを含めてわずかに6人。
共に転戦する仲間が大幅に減った上に、2021年12月に結婚した妻も今は母国にいて離ればなれ。
韓国ツアーで戦う先輩プロから「帰って来い」と、言われることもしばしばだ。
心が動かないこともないが今は日本が主戦場。
「家にも、なかなか帰れないけどJGTOで頑張りたい」と、遠征中は妻との交流も、ライン電話で我慢。
今年は、9月の「Shinhan Donghae Open」に加えて、今月15ー17日の「ハナ銀行インビテーショナル」と、韓国との共催試合も増えた。
「日本も韓国ツアーもシード権がとれたら嬉しいですね」と、Wシードも夢見るヨンハンには今週の5年シードも「ちょー魅力的。それは本当に大きいですね!」。
本人は、「変な日本語でごめんなさい」と笑うが年々上達し、プレーの内容や、感情の機微もほぼ問題なく伝えることができる。
悪天候下の好プレーには、熱狂的な日本のファンも見慣れたえくぼも浮かんだ。