ツアー通算5勝の高山忠洋(たかやま・ただひろ)は、不屈の男。
プロ25年目の今季もまた、ケガからのシード復活に賭けている。
今週の新規大会は、復帰初戦。
その初日に、8バーディ、2ボギーの65で回った。
練習再開したのは先週の月曜だった。
「それで、まさか。自分が一番驚いています」と、目を剥いた。
後半、上がりの7番から3~4メートルを沈めて3連続バーディ締めなど、休み明けに「急に降りてきた」とひらめいた中尺パターが冴えた。
「メーカーに電話して、2本作ってもらったもの。フィーリングがないので、重いパターに任せてみようと打っているのが良くなった要因です」と、炎天下で45歳が輝いた。
肋間筋(ろっかんきん)を断絶したのは、今年6月のABEMAツアー「ジャパンクリエイトチャレンジ in 福岡雷山」の初日。
ワンオン狙いのパー4で「ちぎれちゃった、振りすぎて」と、息をするのも苦しい痛さ。
「練習ラウンドでは乗ったんですよ」と、自慢をするが、本戦のティマークはそこより6ヤードも後方。
「もうちょっと振らないと、と行っちゃった。年甲斐もなく」と後悔したが、それでもその日は1ラウンドを完走。
翌日も「左手1本で回ってハーフは1アンダー」と粘りを見せたが、辛抱もさすがにここまで。
「後半は全然テークバックができなくなった」と、途中棄権した。
2週後に行われた「日本プロ」の予選会で復帰をしようとしたが、失敗。
会場に送ったキャディバッグを、使わないまま送り返してもらうという事態も起きた。
「こりゃダメだ、長引くわ」と観念して丸2ヶ月。
超音波やアイシング、マイクロ電流と治療の限りを尽くして戻った矢先の好発進である。
目の病気で2年の休養から特別保障制度で復帰した20ー21年は規程の試合数では満たせなかったが、主催者推薦などを駆使して補填。2017年以来のシード復活を果たした。
昨2022年に筋膜炎を発症したのもまた6月頃。
「奥さんの誕生月なんですけど最近、毎年家にいて、お祝いができるんですよ」とある意味、幸運なのはなんなのか・・・。
昨季は賞金98位でまたシード陥落し、今年はファイナルQT36位からの復活に賭けている。
「毎年ケガをしたり、病気をしたりしてますけど、復帰した時にゴルフができる喜びをかみしめてやっています。楽しくて仕方ない」と、不屈の45歳は屈託がない。