アマで唯一予選を突破。通算1オーバーの15位タイと見事な成績で、ベストアマに就いた早稲田大2年の中野麟太朗(なかの・りんたろう)さん以上に、プロの試合で初の最終日を楽しみにしていたのは、きゅうきょ1日キャディをつとめた小室敬偉(こむろ・けいん)さんだ。
中野さんの大学ひとつ先輩。
今週金曜日まで行われていた合宿終了後、高校時代の国体で一緒になって以来、年違いの大親友として交流を続けてきた中野さんから電話がかかってきて「担ぎたい?」「担ぎたい!」と、即答。
3日目まで担いで「限界・・・」と、ギブアップした中野さんのお父さんの恵太さんの代打で登板した。
当日朝5時に世田谷の自宅を出て駆けつけた最終日のペアリングは18、19年賞金王の今平周吾と、現在賞金1位の中島啓太(なかじま・けいた)という絢爛さ。
小室キャディは以前、リーグ戦で中島とマッチプレーを争い、勝利した経験を持つそうだ。
「たまたまです」と、照れたが「僕はプロの試合はまだ出たことない。きょうが“初ロープ内”」。
朝イチ緊張のティーイングエリアで中島と再会を果たした時には、「久しぶり」と、声をかけられ「覚えていてくれた・・・!!」(小室キャディ)。
ほんとうに嬉しそうだった。
体力限界を訴えた52歳のお父さんは、小室さんに息子のキャディをバトンタッチした途端にほっとして、疲れが吹き飛んだそうだ。
最終日は元気いっぱい。存分に息子の観戦に徹して「私じゃないほうが良かった。ちゃんとした子が担いでくれたほうが良かったんだと思いました」と、苦笑していた。
最終日は2バーディに対して、4ボギーの「72」。
5番ではティショットをOB。打ち直しにまた戻ったり、12番ではへりの目玉のバンカーからあらぬ方向にボールが飛んだり、試練続きだったが「本当に楽しかった」と、プロの試合の日曜日を中野さんも味わい尽くした。
「特に、昨日の自分を褒めたい」と、3日目の成績で組まれた今平と中島との組み合わせにも、惚れ惚れ。
「ピンチの時にリカバリーする技術は自分も成長したい部分。お2人とも凄いと思った。特に中島プロは連戦続きのレギュラーツアーであれほど安定した球を打ち続けることができる。ありえないです!」と、驚愕。
「他の試合では、見つけられない課題がたくさん。ごちそうさまです!」。
きゅうきょ担いでくれた小室先輩と一緒に揃いのチームウェアで駆けつけ、ロープの外から大きな声で応援してくれた仲間にも大感謝だ。
「いいチームメイトに出会えて本当に良かったと思いました」。
ボード前の記念撮影で、185センチ余の長身から今週一番の笑顔がこぼれた。