土壇場のイーグルで一瞬、夢を見た。
「最後18番でバーディならチャンスある」と、よぎったのもつかの間、ティショットがまた右の林へ。
「どうやってパーを獲ろうという状況に」。
万事休すだ。
だが再びそこから、また会心の1打が出てパーオン成功。
今度は8メートルのバーディトライに色めき立ったが、惜しくも逃した。
ジェットコースターみたいな上がり2ホールは結局、2打差のまま終わった。
4つ上の谷原とは東北福祉大で「入れ違い」。
在籍はかぶっていないが、松山英樹のエースキャディをつとめた進藤大典(しんどう・だいすけ)さんの紹介で、一緒に練習ラウンドさせてもらって以来の間柄だ。
「タニさんの凄さはショートゲームの上手さ。ミスしても拾うし、チャンスも逃さない。僕もチャンスはあるのに上手く取れていない。そこの差」と、羨望と共に、ひそかに自身への戒めもこめて、谷原にお祝いの水シャワーをかけにいったら、返り討ちにあった。
「えいっ!」と谷原が浴びせた逆水シャワーが内藤に命中。
勝者のびしょ濡れ気分を疑似体験して思いが高まる。
20ー21年に賞金40位で初シード入りを果たしたが、すぐ2022年に陥落。
今年はファイナルQTの資格で復活につとめるが、5月以降の出場6戦連続の予選落ちが響いて、今季自己ベストの4位タイでもまだ、シード復活にはほど遠い現在63位。
「次週以降の試合に出られるかも決まっていないので、トップ10を続けていくしかチャンスがないな、と思っています」と、尻に火がつく中、44歳でもまだまだ第一線でツアーを牽引する谷原は希望の星だ。
「僕もタニさんみたいにもっと頑張らなくちゃいけません」。
心に火がついた。