当時の日本とアジア共催の「SMBCシンガポールオープン(2020年)」での6位で資格を得た2021年の「全英オープン(ロイヤルセントジョージズ)」では、「日本よりもずっと重い風だったので。あの経験を生かして」。
特に、この日気配りしたのは、持ち球のドローに対して「左からの風。捕まえようとすると捕まえすぎて、左に曲がりすぎてしまうミスが昨日はすごく多かった。きょうはフェード目の球で逆らわないように。風に乗せる作戦でいきました」と、器用に打ち分け、6バーディ。
特に2番や6番では狙った通りの組み立てで、通算9アンダーと伸ばして午前の首位獲りに成功。
「試合でトライしないと自分のものにならないこともある。そういった意味でも今日のスコアは自信になるし、ゴルフ人生にもプラスになった」と、2日連続ボギーなしにも手ごたえを喜んだ。
前日初日に、トップで並んだ後輩プロの堀川と阿久津は、木下もまたいつも一緒の練習仲間だ。
「ジェラシー、ありましたね。2人が上にいてくれたので自分も頑張ろうと。きょうの好プレーにつながった」。
スコア提出を済ませて外に出たところでちょうど取材を受けていた阿久津が木下に気づいて「来た、この風の中で6アンダーで回った“キモ下さん”」と、仲良しならではの賞賛を受けた。
もうひとり、初日に首位だった堀川未来夢(ほりかわ・みくむ)はこの日は、入れ替わりで午後から出ていったが、「彼は風が強ければ強いほど強さを発揮する選手。これからスコアを伸ばしてくると思いますけど最終日に一緒に優勝争いできれば嬉しいですね」と、友人らとのV争いも楽しみだ。
今週月曜日には、「全米オープン」の最終予選会(滋賀県・日野GC)」に挑戦。
「1週間に2つのメジャーに出られるチャンスがある」ともう一歩と迫ったが、清水大成(しみず・たいせい)にプレーオフの2ホール目に敗退した。
ウェイティング順位を決めるためのエキストラホールも含めて1日“39ホール”も徒労に終わった形にはなったが、体力・気力の温存を見越して前後の練習しすぎをセーブするなど、大会を折り返した今もまだ十分に余力がある。
「全英オープンはまだ残っている、と気持ちを切り替えて」。
今週は改めて、大会上位3人のメジャー切符に賭けている。
「海外のレベルが高いフィールドでプレーがしたい。3年前の全英オープンでも成長ができていると思うので。またそういう場所で成長したい」。
初優勝からの連勝を達成し、一気に通算2勝を飾たのも、「全英オープン」で初メジャーを踏んだ3年前。
「あれから3年勝てていない。早く優勝したい気持ちでいっぱいです」。
ためらうことなく二兎を追う。