記事

日本プロゴルフ選手権大会 2024

シニアメジャーで2位。藤田寛之がぶっつけ本番で“凱旋”へ

2位で負けても主催者にとっては“凱旋出場”に等しい。

第91回を迎える「日本プロゴルフ選手権大会」主催の公益社団法人日本プロゴルフ協会(PGA)・明神正嗣(みょうじん・まさつぐ)会長は、藤田寛之(ふじた・ひろゆき)の帰国を、「彼も一生懸命やった結果で非常に残念だと思います」と労い、「明日から本戦に出ていただくので、その分もひっくり返すくらいのことをやってもらえたら」と、開幕前日の公式会見で賞賛と期待を込めて話した。

本大会は、JGTOが主管するレギュラーツアーのスケジュールに組み込まれるが、PGAは普段、主にシニアツアーを統括する団体で、藤田の先週のメジャー「全米シニアオープン」での健闘が、主催のタイトル戦を直前に控えたPGAのみなさんにどれほどの希望と喜びと、一抹の無念をもたらしたことか。

そしてもちろん、プレーオフ4ホールも含めて月曜まで持ち越された激闘で惜敗し、急いでアメリカから帰国し、ぶっつけ本番で本大会を迎えようとしている本人こそが、一番悔しかったのは、言うまでもない。

「勝てる可能性を感じられる状況がありました。正直、残念な気持ちが一番ですね」と、藤田。

帰国の第一声は3日水曜日の13時過ぎに、デルタ空港で羽田空港に到着してすぐに行われた記者会見で発声されたが、そもそもメディアも含めて50数人の出迎えも会見も、本人には秘密裏にすすめられたもの。



「本当にこのサプライズは予想していなくて、このまま日本プロの会場に急いで行かなくてはと考えていたんで、今この会見が信じられないという感じです」という戸惑いと共に、「本当は優勝できたらよかった」という思いも同時に再燃したようだ。

初日の「63」を契機に首位を走り続けた上に、“5日目”の月曜に残された8ホールも、3打のリードを持って迎えたことで、それまで平静を保っていた藤田に異変が起きた。

「通常1日で済むトップで迎える最終日が2回も来てしまった、ということ。しかも、2回目がショートバージョンだったということで、正直5日目はやはり硬くなってしまっていました」などと、会見で心境を振り返った。

    英国のブランドにプレーオフ惜敗

    でも、「終わってみて、残念で悔しい思いは30分くらい。あとあとよくよく考えたら頑張れたんじゃないかと思えるようになった」とも。

    14番のボギーで逆転を許したあと粘って再び首位に並んだ上りの4ホールや、プレーオフの4ホールを振り返り、負けたのに「ありがとう」とか「感動した」といった言葉であふれたSNSに感謝し、「自分はゴルフをしていただけですが、それがこうして皆さんに少しでも感動を与えれらえることができたならば、うれしいです。本当にありがとうございました」と、サプライズ会見を礼の言葉で締めくくり、休憩する間もなく、今度は先の地区予選を突破して出場資格を得ている本大会の会場へ。

    時差ボケを確実に残したまま初日は12時35分に、10番ホールから鍋谷太一と佐藤大平とティオフする。

    組合せスタート時刻 日本プロゴルフ選手権大会

    昨年覇者の平田憲聖(ひらた・けんせい)は、前日の公式会見で、「藤田さんとはレギュラーツアーで何度もプレーしましたし、回るたびに本当にすごいと思います。今回の試合も、もちろん見ていました」と顧み、「自分があの年齢になってあそこまで活躍できる未来は正直、見えない。でもそうなりたいと、先輩方を見ながらすごく思います」。

    23歳も55歳の“凱旋”を仰ぎ見ている。

    <テレビ放送>
    ■BSフジ
    7月4日(木)14:00~16:00 生中継
    7月5日(金)14:00~16:00 生中継
    7月6日(土)12:00~15:00 生中継
    7月7日(日)12:00~15:00 生中継

    関連記事