沖縄県の那覇ゴルフ倶楽部で行われた本大会で、豪風が吹くなか6打差を大逆転。
2002年の「日本プロ」に続く日本タイトルで、6勝目(通算7勝)を飾った久保谷健一(くぼや・けんいち)が、JGA100周年の記念大会を“黒子”として奮闘していた。
プロ転向の1995年から丸4年間ほど、ここ東京ゴルフ倶楽部に所属し、その後もオフの練習など“ホームコース”として活用させてもらっている。
本大会の開催に際して「ぜひアドバイスを」と、コースさんから要請を受けたのは、今から1年ほど前。
日本タイトル戦にふさわしいコースセッティングを求めて、コース管理のみなさんと奔走してきた。
「もっとこうしたかったとか、準備が間に合わなかった部分はあります」と、残念がるひとつがグリーン周りのセッティングだ。
「今風に刈り込んで、外したら難しいっていうふうにしたかったんだけど…」。
今夏の猛暑など重なり、実現できなかった。
「でも、ラフはみんな難しいって言ってくれてて。ちょっと嬉しいな」と、やった甲斐を感じると共に、「このフェアウェイで、ラフに行かなくちゃしょうがないでしょ、と思うんだけど。僕らがやってた10年前より今は倍広いから…」と、時代の移り変わりも痛感している。
「ラフが深くて、フェアウェイも今よりもっと狭くて、そういうセッティングで毎年苦しんで、苦しんで、とやってきた人間が、最後攻略して勝つ、というのが僕らの思う日本オープンだったけど。最近はぼーんと勢いのある選手がいきなり初優勝とかしちゃう。時代ですよね」と、苦笑する。
自身は2018年にシード陥落してから、レギュラーツアーはほとんどご無沙汰。
「届かないんだから! 打ちたいように打てないし、そんなんじゃやってても面白くない」と、52歳の今は、シニアツアーを主戦場にしながら「お休みにお客さんをレッスンして、細々と余生を過ごしていこうかな」と、愉快なぼやき節はレギュラーツアーでやっていたころのまま。
今週は、期間の11日金曜日まで会場に来て、「目土をやったり、バンカーをならしたり、倒れたラフを直したり」と、裏方に徹した歴代覇者。
「このあと、深堀さんにちょっとアドバイスをしてきます」。
中継局「NHK」で解説をつとめる、先輩プロの深堀圭一郎(ふかぼり・けいいちろう)に、元所属プロとして攻略の肝を伝授するなど、レクチャー役としても一生懸命。中継スケジュール
「あとは無事、新しい優勝者を待つだけですね」と微笑み、森の向こうへ歩いていった。