記事
ゴルフ日本シリーズJTカップ 2003
平塚哲二、狙ってつかんだ初優勝
平塚哲二、狙ってつかんだ初優勝
この優勝で平塚は、1年間、探しつづけてきた“答え”を見つけ出した。それは、「勝つためには、そ の週、何か良いものがひとつ、あればいい」ということだった。
「何か良いもの」、今回の平塚にとってそれは、「4日間、ほとんどミスがなかった」パッティング。これには、この日同じ組でまわった“賞金王”も、舌を巻いたものだ。
「あんなに入れられちゃあ、・・・追う方もつらいよね」(伊沢利光)。
そしてもうひとつ、出した答えは戦う姿勢だ。
これまでは、あえて優勝を意識しないでプレーすることが多かった。そうすることで、プレッシャーを 押さえ込むのが狙いだったが、かえって安全に行き過ぎて守りのゴルフが先になってしまった。
だから今週のラストチャンスでは、思い切って「優勝を意識するゴルフ」に変えた。「狙ってゴルフを して、どこまでやれるか」4日間、自分を試すつもりだったのだ。
そのかわりに前夜から、激しいプレッシャーに襲われた。
早めに床についたものの、優勝して大喜びしている夢と、最終日、ボロボロに大たたきしている夢。その2つを交互に見た。優勝争いの最中に、そんな夢 を見たのは、今回が初めてのことだった。朝は予定より1時間も早い、5時半に目が覚めてしまった。
しかし救いだったのは、起きて思い返したとき、大たたきより優勝したシーンのほうが、夢を見た回数が多かったことだ。
4打差で迎えた最終18番は、前夜、夢に見た優勝シーンそのままだった。
狙ってつかんだ初優勝。優勝を意識してプレーするという初の作戦が「大成功」に終わった。これで、3年間の複数年シードも手に入れた。獲得賞金は、夢の1億円を突破して、ランク2位にのしあがった。今年は泣く泣く見合わせた米ツアーにも、来年から心置きなく挑戦できる。
大会2日目の夜に出会って、「そろそろ勝てよ!」カツを入れられた米ツアーの先輩、丸山茂樹の背中を追いかけていける。