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アコムインターナショナル 2001

「みなさん!ごめんなさい!!」

細川和彦のウィニングボールのゆくえ

 タップインで、ウィニングパットを沈めると、満員のスタンドから、いっせいに、ウィニングボールをねだる声が飛び交った。
 声に向かって手を合わせ、「ごめんなさい」の形に、口を動かした細川。
 誰よりも、プレゼントしたい相手がいた。
 玉枝夫人の手に抱かれながら、パパを出迎えた長男・和広君(1歳5ヶ月)。
 小さな手にボールが収まると、ギャラリーからは「しょうがないな」という笑いがおきた。
 「地元で、また、子供の前で、優勝できたことが、何より嬉しい。・・・といっても、和広には、まだわかんないだろうけどね(笑)」
 その和広君には、「大きくなっても、ゴルフだけはさせたくない」と言った。この日のV争いは、それほど苦しい、戦いだった。

 4打差首位でスタートした最終日。
 同組の今井が1番でバーディ。兼本は1番、2番で連続バーディと、ライバルたちに、先を越された。
 細川には、5番でようやくバーディが来たが、今井に入れ返され、2位との差は一時は1つに。
 1年半、V戦線から遠ざかっていたブランク。「勝てなかった日々は、とても長くて苦しかったから・・・。勝負の世界は、こんなにつらいものか、って、今日は改めて、感じずにはいられませんでしたね」

 ようやく、優勝を確信できたのはラスト18番。第1打が、フェアウェーど真ん中を捉えると、ようやく、「あとは3パットしようが、4パットしようがもう大丈夫」と、思えたという。

 2メートルのパーパットを打つ前に、同組の兼本が、気を遣って「先に打とうか」と言ってくれた。
 4日間を締めくくるラストパットを、譲ってくれようとしていたのだ。
 だが、細川は、それを断った。「だって、なんだか入る気が、しなかったんだもん・・・(苦笑)」
 案の定、はずしてボギーの締めくくり。しかし細川は、勝利を手にした安堵と喜びだけを、全身から漂わせた。
 優勝スピーチは涙声で、「今は分からなくても、今日の日のVTRを、いつか、子供に見せたいな」
 そう言って和彦パパは、きょとんとしている和広君の顔を、いとしそうにのぞきこんだ。

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