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アコムインターナショナル 2005
デービッド・スメイルが単独首位
「デービットの顔を見るまでは、心配でたまらなかったのよ。もちろん油断は禁物だけど、とりあえずひと安心ってところね」。
妻も胸を撫で下ろしたこの日の64は、ボギーなしの7アンダー。
単独首位スタートに、明るい兆しが見えてきた。
いつもはほとんどその表情を変えず、おだかな顔でプレーする選手だ。
だが3週間前は、苦痛でゆがんでいた。
7月に挑戦した全英オープン。
移動の際に、重いバッグを無理して持ち上げたのがたたって、腰を痛めた。
歩くのもままならず、プレーの合間は立てかけたキャディバッグにつかまっていなければ、立っていられないほどだった。
ショットのときも、ほとんど体を使わない。
恐る恐るスイングしたあと、体勢を元に戻すしぐさが痛々しかった。
あまりの痛みに8月は、1ヶ月間母国ニュージーランドにきゅうきょ帰国して治療に専念した。
9月のフジサンケイクラシックでどうにか復帰したが、気温が下がった最終日の朝にぶり返した。
「ベッドから、起き上がれない状態だった」。
3日目を終えて32位につけていたが、やむなく棄権した。
いまは、トレーナーの治療を受けながらの参戦。
「本当なら、しばらく安静にしたほうがいいのは分かっているんだけどね。痛みに反して、なぜがそこそこ成績が出ちゃうので・・・」。
深刻な故障を抱えながらも試合に出続ける夫が、妻は気になって仕方ない。
海の向こうでただ祈るしかない毎日は忍びなく、とうとう会場に駆けつけた。
その途端の好発進に、肩を並べて喜び合ったスメイル夫妻であった。