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ANAオープンゴルフトーナメント 2005
深堀圭一郎がプレーオフを制して今季2勝目、ツアー通算8勝目
インタビューに答える唇も、震えていた。
一時は、2週連続優勝を狙う今野康晴に3打差をつけられたが、最後まで諦めないのが身上だ。
勝負が緊迫するほど、集中力が高まっていく。
立ちはだかる壁が大きいほど、燃えてくる。
「自分の弱さに負けないように。前しか見ていなかった」。
土壇場の17番パー5で追いついた。
残り139ヤードからピン2.5メートルにつけたバーディチャンスをねじこんだ。
武者震いが来たのはその直後だ。
体の奥がジン・・・と熱かった。
「アドレナリンが出ている」と、感じた。
首位タイで迎えた18番の第2打は、ピンまで128ヤード。
キャディのサイモンさんは「9番アイアンで行こう」と言った。
深堀は、迷った末にピッチングウェッジを握った。
いつもなら、常に的確なジャッジを下すサイモンさんの言葉に素直に従っただろう。
まれに見る激戦にひどく興奮しながらも、頭の中は冷静だった。
いまは気合が入っている分、球が飛びすぎる可能性がある。
それを計算して、短めのクラブを持ったのだが、それでも、ピンをオーバーしたくらいだ。
奥の傾斜を利用して、戻ってきたバーディチャンスはピン横8メートル。
「9番で打っていたら140ヤードくらい飛んでミスしていた。うまく、自分を分析できた」。
今野と互いにパーで分け、勝負はプレーオフに突入した。