記事

三菱ダイヤモンドカップゴルフ 2006

横尾要が4年ぶりのツアー通算5勝目

ウィニングパットを決めて、思わず天を振り仰ぐ。喜びと同時に、こんな思いがこみ上げてきて、目を閉じた。
「ああ、今日は疲れたなぁ・・・って」。
難コースを舞台に、接戦を演じた。
「ゴルフの内容は、むちゃくちゃだったから。ハーフが終わっても、勝てるなんて思わなかった」。

むしろ、「また負けるかも・・・」。嫌な記憶が頭をよぎった。
昨年11月のダンロップフェニックス。プレーオフ4ホールの末に、ウッズに破れた。
「相手が相手。勝てるわけない。それに勝っていたら、いまごろ勘違いしてたでしょう」。
そう自分を納得させつつ、それでも悔しさは残った。

さらに同じ年の12月、アジア・ジャパン沖縄オープン。
初日、2日目に首位。3日目に単独2位につけながら、最終日に13番から5連続ボギーを打って、5位タイに沈んだ。
「勝ってなくちゃいけない試合」でみすみすチャンスを逃したことで、「俺はもう、二度と勝てない、と思ったことも」。

一度は諦めかけた5個目の勝ち星を、2打差で掴み取った安堵が、全身を包んだ。

最終日は悪天候のため、スタートが2時間も遅れたにもかかわらず、最後まで残って声援を送ってくれた大ギャラリー。
18番グリーンを降りるなり観衆の輪をくぐり抜け、長女・紗千(さち)ちゃんが、飛び出してきた。
軽々と抱きかかえると、頬にキス。愛娘から祝福されて感無量だ。

前回の優勝は、2002年のダンロップフェニックス。
「そのときは、まだこの子もお腹の中だったから。目の前で良いところを見せることができた。これでパパが、どういう仕事をしているか分かってくれたんじゃないかな?」。

普段はクールな男が、最愛の家族を前に目じりを下げた。



関連記事