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VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント 2010
石川遼は4週ぶりの国内戦
炎天下にも、涼しい顔だ。
「先週は、熱中症寸前まで走り込んで、暑さにも慣れました」と、逞しい。
毎日欠かさなかった2時間の素振りも、確かな効果を上げている、と実感出来る。
そして、家族旅行でリフレッシュ。関西オープンを欠場した先週は、静岡方面へ。2008年のプロ入り後、試合以外で家族と出かけたのは初めてだったという。
二泊三日は年の離れた姉弟と、海水浴や温泉を楽しんだことで、気がついた。
「今まで気持ちを張り詰めていたことが、ようやく分かった」という。
昨年は18歳の若さで賞金王まで上り詰め、よりいっそう世間の注目を浴びる中で、縮こまっていた心。
今年は5月の中日クラウンズで58の世界記録をマークして1勝を上げているが、目立ったのはその1試合だけだ。
「今年は悪いプレーをしたくないと、マイナス思考になっていた」。
3年目にして「初めて直面した」というプロの厳しさ。
改めて、胸に誓った。
「ファンを魅了するプレーをすることが、プロの使命。僕の精神力が試されている。これからは、良いプレーをしたい、というプラス志向で行きたいです」。
先週の米女子ツアーで5勝目をあげた宮里藍さんが何よりのお手本だ。
2007年の大スランプを経て、今の宮里さんがある。
「僕は、ずっと間近で見てきたわけではないけれど。どんなに予選落ちが続いても、どんなに成績が出なくても、向上心をなくさず練習を続けていれば、必ずあとで良い形になって表れるんだ、と。そう思わせてくれた藍さんは、良い先生になりますね」。
目下の目標は「平均飛距離とバーディ率」という。
特にバーディ率は「数字が上がってくれば、良いゴルフが出来ているということだし、良いゴルフが出来れば、数字も上がってくる。そういうことに、真剣に取り組んで行きたい」。
18歳が、争っているのは他の誰でもない。「自分自身です。後半戦も、自分との戦いです」と、信念に揺らぎはない。
昨年の今大会は、1打足りずにプレーオフに進めず3位に終わった。リベンジで、4週ぶりの日本ツアーに再び旋風を巻き起こしたい。