記事

JCBクラシック仙台 2005

村上甚「応援してくれる人たちに報いたい」

今年、ファイナルQTランク33位の資格で、プロ15年目にして自身初のツアー本格参戦。はじめは、トッププレーヤーたちのショットにただただ、圧倒された。村上の持ち球は、どちらかというと球筋の低いスライス。中でも特に、伊沢利光の高い弾道にあこがれた。
自分も、あんなボールが打ちたい。
「どうやったら打てるようになるのか・・・」。考えるほどに、自分を見失っていく。

今週、出場3試合目。「どれほど考えてみても、僕が伊沢さんになれるわけじゃない」。
そう気がついて、吹っ切れた。
「球筋ではかなわないけど、そのかわりに頭を使えばなんとかなる。その考え方が、今日の結果につながったのかもしれません」。

ボギーなしの7アンダー、64をマークして3位タイ。

今年36歳。「プロなんて、食っていける人はほんのひと握り。こんなに割りに合わない仕事はもうやめようか・・・」そう考えたことは、何度もあった。

それでも、夢をあきらめずにいられたのは所属コースの暖かいサポートがあったからだ。

静岡県のザ・フォレストカントリークラブは2年前に、民事再生法を申請した。
同時に「きっと、自分もクビになるだろう」。そう思っていたが、新たにコースを営業することになった株式会社川嶋の川嶋義勝社長が、「ツアーを目標に頑張ってるんだから」と言って、契約を打ち切られるどころか、給料と遠征費まで出してくれることになったのだ。

試合のない日は、マスター室の業務が終わったあと、存分に練習もさせてもらえる。
「それがなかったら、とても試合どころじゃなかったです」。
感謝してもし足りないと、村上は言う。

社長や、メンバーの口癖は「トーナメントは、宝くじみたいなもの。買い続けないと当たらないように、出続けないと結果は出ない」。
そのとおりだと村上は、痛感している。経験を増やし、何度も何度もぶつかって、挑戦して、そしていつか恩人に報えればいい、と考えている。

関連記事