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ウッドワンオープン広島ゴルフトーナメント 2005

野上貴夫「今週は、相当気合が入ってます」

夕方のクラブハウス。予選落ちが決まり荷造りをする宮里聖志が、ふと手をとめて言った。「野上さん、どうなりました?」。
そのとき、通算8アンダーで首位を走っていた野上貴夫は練習仲間で、大親友でもある。依然、上位を守っていると知ると、心底ホっとした表情を浮かべて言った。
「野上さん、今年ようやく出場2試合目で初の予選通過なんですよ。今週はリランキングでもあるしね。ほんとうに良かった・・・」。

そのころ、本人は距離が長く、難しい8番パー4をプレー中だった。そのホールはボギーとしたが、続く最終9番でフェアウェーからの第2打をバーディチャンスにつけた。
グリーンに向う途中、キャディに渡されたパターをコツコツ、と2回叩いて小声でささやいた。
「これの、おかげだよ」。

練習日。宮里に、パッティングのアドバイスを受けて開眼した。
「アドレスが、前屈みすぎているよ」。そのせいで、ヒットするときに体が起き上がって、結果ヘッドを押し出したりするのだ。
その忠告を、すぐに受け入れ実践してみると、たちまち面白いように入りだした。

この日2日目は、後半の2番から5連続バーディ。
特に4番では8メートル、5番で13メートル、6番で奥から8メートル。立て続けに長いのをねじこんで、スコアボードを駆け上がった。
「聖志のおかげ」と感謝した。

デビューした96年に、アジアンツアーで優勝。国内でも幾度か優勝争いを繰り広げ、99年には初シード入りを果たしたものの、翌年にはシード落ちした。
さらに出場優先順位を決めるファイナルQTでも失敗し、そのあと、ツアーの出場権さえ持てない年を何年か味わった。
今季は、どうにかファイナルQTは突破したものの、ランクは48位。
大会週の月曜5時以降に欠場者が出たときに、QTランクから繰り上げ出場ができる現地ウェイティング制度を利用して、今年5試合で出番を伺ったが結局入れたのは今大会と、6月のJCBクラシック仙台だけだった。

まして久しぶりにチャンスを得た今週は、ファイナルQTランクとチャレンジトーナメント上位5人の選手で構成される出場優先順位のリランキングが行われるだけに、「相当、気合が入っている」。

ドン底に落ちてから、起死回生をねらってさまざまな取り組みをしてきた。
その中でもいちばん力を入れたのが、減量だ。
身長176センチに対して、いちばんピークだった95キロから、いまは88キロまで落とした。
週1回のランニングとハードトレーニングで、「7キロの“おもり”を落として、スイングのキレが良くなった。疲れにくい体になった」。
効果をあげて、この正念場で首位タイ浮上。

今週の最終日は、自身34回目の誕生日と重なる。
「ゲンの良い日に、願をかけて行きたいですね」との言葉に、切実な思いがこもっていた。

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