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ANAオープンゴルフトーナメント 2005

宮瀬博文「今はまだ、見つけられないだけ」

スイングを壊して帰ってきた。昨年、ファイナルQスクールの資格で本格参戦した米ツアー。飛距離の差、技術の差、層の厚さ・・・。27試合に出場して、ベストフィニッシュがフェデックスセントジュードクラシックの9位タイ。予選通過は、わずかに5回。

「追いつこう、飛ばそう、予選通ろう。・・・いろんなことを考えているうちに、リキんでおかしくなった。自分を見失い、何がなんだかわからなくなった」。
賞金ランク125位内のシード入りには遠く及ばず、帰国した。
そのあとも、思わぬ後遺症に悩まされた。

92年からシード権を守り、すっかり慣れ親しんでいたつもりの日本ツアー。
どの開催コースも知り尽くていたつもりだったが、復帰を果たした今年は「“えっ、こんな所にこんなものあったっけ?”っていうくらい。今までなら、考えられないような所に、ボールを打ち込んだ。それほどひどく曲がってた」。

自力でなんとか修正しようと試みたが、ひとりで取り組むには限界があった。
悪戦苦闘を続けていた宮瀬に手を差し伸べてくれたのが、プロコーチの井上透さんだった。

コーチをつけるのはプロ人生初だったが、先輩と慕う加瀬秀樹がもう何年も井上さんとタッグを組んでいたこともあり、何の抵抗もなくアドバイスを受け入れることができた。

井上さんと正式な契約を結んだ今週は、もともとアウトサイドから入ってくる軌道を修正する課題に取り組んで、「精神的にも、かなり楽になった」。
この日初日はフェアウェーを外したのは5ホールだけと、ショットも比較的安定し、ボギーなしの5アンダーをマーク。
さっそく、効果のほどを示してみせた。

苦しみばかりが思い出される昨シーズン。
「でもきっと、アメリカに行ったことでプラスになったものは計り知れないんだろう」と、宮瀬は考えている。
「・・・だってアメリカで戦うなんて、誰にでもできる経験じゃないですからね。もがきながらも掴んだものはきっとあるはず。・・・ただ、今はまだそれを見つけ出せないだけなんだ、って」。

その答えが見つかったときこそ、本当の意味で成長できるとき。
そう信じ、復活目指して頑張っている。

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