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フジサンケイクラシック 2005

矢野東「たまには勝たしてもらわないとね」

お互いコーチの内藤雄士さんに師事している縁で、15歳の伊藤涼太くんと練習をともにすることが多くなった。
先月のアイフルカップでは、「矢野さんのアドバイスが良かった」などと、伊藤くんの口からもよく矢野の名前が出るようになった。
普段は「ほかの人の成績なんてどうでもいいよ」と素っ気ない矢野も、涼太くんの成績は気にかけているほどだ。

だが、「最近はずっと負け通しだよ」。

先週まで3試合連続の予選通過を果たし、旋風を巻き起こしている涼太くんにやられっぱなしだった。
そればかりか、伸び盛りの15歳は現在身長173センチ。
176センチの矢野に迫る勢いで、「これで身長まで涼太に負けたら、もう会わないから」と、冗談交じりにこぼす始末だ。

そんな屈辱から今週、ようやくツアープレーヤーとしての名誉を回復できそうだ。
連戦続きで疲れが出ている様子の涼太くんは、ボギーやダブルボギーが先行してこの日初日は大きく出遅れてしまった。
「たまには、勝たしてもらわないとね」と、3アンダーの好発進に胸を反らした。

開幕前から「見た目と逆の切れ方をする」とグリーン上で悩む選手が多いが、矢野はそれを「目の錯覚」と分析している。
富士山の裾野に広がるここ富士桜カントリー倶楽部は、「真っ直ぐ立っているつもりでも、実際は傾斜の上にいたり。それが、感覚を狂わせている」と踏んでいる。
だから、フックと読んだラインが思いがけず右に曲がったり、スライスと読んでも実はストレートだったり・・・・。
「それはもう、絶対に完璧には読みきれない部分。2メートル以上のパーパットは逆に読んじゃうと絶対に入らないからとにかく僕は、パーオンして2パットでいく、というつもりでやっているんですよ」。
その作戦がはまったこの日初日の好スコアだった。

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