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2010年のニューフェイス④<H・T・キム&金亨成>
表記こそ違うが、2人の“キム”だ。
カタカナのキムにとってはまさに、「やっと掴んだ」シード権だった。
土壇場の大どんでん返しをくらい、約20万円差で日本ツアーの初シード入りを逃したのは一昨年前。
その直後に行われた出場優先順位をかけた予選会ファイナルQTにはエントリーをしていなかったため、出場の道は完全に絶たれた。
「でも、自分にはそれがかえって良かったのだと思う」。
まさに一からの出直しとなった一昨年は、母国の韓国ツアーで腕を磨き、トレーニングにもいっそう力を入れた。日本語の勉強も怠らず、その機会を待った。
そして改めて、ファイナルQTに再挑戦。ランク5位の資格で舞い戻った今季、賞金ランクは66位に食い込み、2年遅れのシード権を手にして「ほんとうに嬉しいです」と、喜びもひとしおだ。
「今年はもっともっと練習して絶対に勝ちます」と、意気込む。
そして、もう一人は漢字で書く「金」。ご記憶の方もおられるとおり、昨年6月のミズノオープンよみうりクラシックで、あの石川遼と優勝争いを繰り広げた選手だ。
以来、たびたび上位に顔を連ね、仲間うちでも「いま、もっとも初Vが近い選手のひとり」と一目置かれる存在に。
一昨年のファイナルQTランクは7位の資格で本格参戦1年目にして、賞金ランクは31位につける活躍に、噂の信憑性が伺える。
将来の目標は、米ツアーへの参戦だが「毎日が勉強」が口癖の29歳は、しかしもう数年は日本に居座るつもりだ。
憧れの選手は同胞のK・J・チョイと、今年の全米プロでメジャー初制覇のY・E・ヤン。
「2人の先輩たちも、何年か日本で勉強して世界に羽ばたいていったと聞いていますから。僕ももう少し、日本で勉強させていただくつもりです」。
そのほか、やはり韓国出身のベテラン金 鍾徳 (キム ジョンドク)や、シード2年目の昨年は賞金ランク9位につけた金 庚泰 (キム キョンテ)はあの丸山茂樹ですら一目置く存在で、今年は手強い“キム”が4人も・・・!!
揃って愛想の良い笑顔と、柔らかな物腰につい気を許してしまいそうだが、その実力はみなそれぞれが折り紙つきで、けっして油断ならない。
2010年のジャパンゴルフツアーに“キム旋風”が巻き起こる・・・・・・!?