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中嶋常幸「ゴルフは、1冊の本のようなもの」

「俺について来い!」と子供たちを引き連れて歩くジェット
シニアVS女子VS男子の対抗戦『3TOURS CHAMPIONSHIP 2006 IMPACT!』で、昨年に引き続き2位に終わったものの、技とパワーのゴルフで圧倒的な存在感を見せ付けたシニアツアーのPGAチームは、この日も絶好調だった。

翌日の10日(日)に行われた『3TOURS JUNIOR SUMMIT』。
全国のジュニアと、開催コースのキングフィールズゴルフクラブで9ホールを回るラウンドレッスン会。

早くも、スタート前のパッティンググリーンから手取り足取りの指導を始めたジェット尾崎は、1番ティで、デモンストレーション。
アドレスを取るプロに、子供たちの視線がいっせいに注がれる。

シンと静まり返った空気に、たまりかねてジェットが言った。
「俺がな〜んで、コースで喋りまくるか知ってるか? 実は、むちゃくちゃ緊張しているから。君たちに見つめられて、俺はいまひじょ〜に緊張している。試合でも同じ。平気な顔をしているけれど、お客さんに見つめられて本当は、すごく緊張してるもんなんだ」と、プロならではの心境を吐露。

それでも、飛ばし屋ならでは弾道を披露して満足そうに声を張り上げた。
「よ〜しみんな、今日は俺について来い! 今日はいろんなことを教えてあげるから。絶対に俺から離れるなよ!」。

1番ティで子供たちに“直ドラショット”を披露して、「おじちゃんは、よくこんな練習をしてるんだ。今日はみんなに、いろんな練習を見せてあげる」と言ってスタートしていった髙橋勝成は、「とにかくゴルフは、本当に楽しいスポーツだ」ということを教えたかった。

今回のレッスン会で、子供たちに何度も諭したのは「ゴルフで悩まないこと」。
スポーツは、頭でするものではない。
「まず、体で表現すること」。
それでも、上手くいかないとすぐに考え込んでしまう子供が最近多いと感じている。
「自分の何が悪いんだろう」と、頭でっかちになってしまうのだ。

「それじゃいけない。スポーツは、まず楽しむことが大事。悩んでばっかりじゃ、ダメなんだ」。
身振り手振りの指導にも、そんな気持ちがあふれ出ていた。

青木功が今回、子供たちに提案したのは主にこの3つ。
「今後もゴルフを続けるか、プロになるか。決めるのは自分自身ということ」
「自分で決めたら、課題を作ってそれに真剣に取り組むこと」
「ゴルフを続けさせてくれる親に感謝すること」

閉会式で、集合した子供たちに後ろを向かせた。
両親や引率の方々が並んでいる方向だ。
そして、おごそかにこう言った。

「君たちが今日こうしてゴルフが出来るのは、いま目の前にいるご両親のおかげです。常に感謝の気持ちを忘れずに、機会あるごとにありがとうと伝えよう!」。
ゴルフを通じて、親子のコミュニケーションを増やそうと呼びかけた。

中嶋常幸はホールアウト後、この日一緒に回ったジュニアを集めて切り出した。
「ゴルフは、苦しんでやるものじゃない」。

まず、自ら進んでやることが大事で「親の期待に答えようとか、親を喜ばせるためとかじゃなく。みんなには、自分たちでいろんなシチュエーションを作って、楽しんでゴルフに取り組んで欲しいんだ」。

そして、最後にこう締めくくった。
「ゴルフは1冊の本のようなもの」。

つまり中嶋は、上達の近道は日ごろの積み重ねによってしかないということを伝えたかった。
「ゴルフも1冊の本のように、1ページ1ページ重ねていって、毎日毎日、少しずつ上手くなっていくものだということを、いつまでも忘れないで欲しいんだ」。

そんな熱い思い秘めたプロ15人。
彼らと過ごしたこの日こそ、子供たちにとってかけがえのない人生の1ページになればいい。

  • 閉会式で青木は「ゴルフを続けさせてくれるご両親にいつも感謝の気持ちを伝えなさい」と・・・
  • 「ゴルフで悩むのはやめよう」と提案した髙橋勝成

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