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ダイヤモンドカップトーナメント 2001
伊沢利光が、藤田、五十嵐とのプレーオフ1ホール目を制してV
首位の藤田寛之と1打ビハインドで迎えた18番。
「バーディを取るしかない・・・」と、伊沢が勝負をかけた。
いつもなら、スプーンを選ぶティショット、
「この日のピンは奥・・・5番アイアン(の距離が)残るときつい」と、このとき、握ったのはドライバー。
ティグラウンド右いっぱいにティアップして、すぐ前方にせり出す左の松の木すれすれに打ち出したフェードボールは、フェアウェーど真ん中だ。
ピンまでの残り距離は、155ヤード。
そこから、8番アイアンでの第2打は、ピン奥3メートルにピタリ。
藤田が、先にパーであがった。
2位で並ぶ五十嵐雄二が、左から6メートルのバーディパットを決めた。
「俺も入れなくちゃ、プレーオフに残れない・・・」
ラインを読む目に気合が入る。
「そんなに難しくない。カップ右いっぱい」
読みきって、強気でねじ込んだ。
藤田、五十嵐と挑んだプレーオフ1ホール目は、たった今、終えたばかりの18番。
今度のティショットは、セオリーどおりスプーンだった。
「もう1度、ドライバーでフェアウェーを捕らえる自信がなかったんです。今度、ラフに行くときつい。ボギーもありえますからね」
スプーンでまずは、フェアウェーキープした伊沢は、左ラフ→右林と渡り歩く藤田、セミラフから、グリーンをショートした五十嵐にとどめの一撃。
残り180ヤードから7番アイアンでの第2打は、バン!!と派手な音をたててピン左4メートル止まり、勝負は決まった。
前半は、チャンスパットが決められず、「半分焦りもあった」という。
初日、77の116位のスタートから、2日目に、執念で68をマークして最下位で予選通過。3日目には8バーディで2位タイ浮上に、「昨日おとといで、バーディを使い果たしたかも、と・・・(笑)」
最下位での予選通過からの大逆転優勝は、73年のツアー制度施行後、76年東海クラシックの青木功と、93年日経カップでのサムソン・ギムソン以来、3人目の快挙。
「こういう勝ち方は、今までの僕にない展開」と伊沢。
「(師匠の)ジャンボさんは、こういう勝ち方、多いでしょう? だから、僕もこんなふうに勝ってみたかったんです」
フェアウェーの狭い林間の難コースを制し、来月初挑戦の全米オープン前に価値ある1勝を挙げた。