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アンダーアーマーKBCオーガスタゴルフトーナメント 2005

伊沢利光がツアー通算15勝目!!

父親が、ガッツポーズで声援に応えるかたわらで、長女・優美子ちゃんが18番グリーンサイドのスコアボードを指差してつぶやいた。
「あのね、あれ昨日からぜんぜん動いていないんだよ」。
電動式のそれは最終日のこの日、順調に作動していたはずだった。スコアが動くたびに、順位もめまぐるしく入れ替わっていたはずだったが、優美子ちゃんはこう言い張った。

「ううん、動いてない。パパのお名前は昨日からず〜っと、あそこの一番上から動いてないんだよ」。

まだ勝つということが分からない年齢だから、「子供たちもピンと来ていない」と、父親は優勝インタビューで苦笑したが、今年8歳を迎えた優美子ちゃんはおぼろげながらも理解していたのだ。
「強いパパ」が帰ってきたということを。

4打差首位につけた前日3日目から宣言していた。
「通算20アンダーを出す」。それはつまり、いちども首位を譲らずに大差で勝つということだった。
ショットは、自身初の賞金王を取った2001年に匹敵するくらいの出来だった。
特にこの週、アイアンショットが「ずば抜けて良い」と言い切れるほど冴え渡っていた。
5月から握った長尺パターも好調だった。
死角はどこにもなかった。だからこそ、こう思えた。

「ぶっちぎりで勝って、大会を盛り上げたい。強い伊沢が戻ってきたことを、印象づけたい」。

それは、再び蘇ってきた“歴代の賞金王”としての自覚でもあった。

2位以下をこの日一度も寄せ付けず、4打差つけて迎えた最終18番。
7番アイアンで打った第3打は、自然と体が動いていた。
ピンをデッドに狙って右3メートル。これをねじ込み、有言実行のツアー通算15勝目。

よほどの確信がない限り、強気なことは言わない男だ。
いつもありのままの自分を、ありのままの言葉でしか語らない。だから時には淡々と素っ気なく、面白みに欠けることもある。

だが、この日の優勝インタビューは違っていた。

「この優勝は、完全復活といっていい」と言い切った。
賞金ランクは9位に浮上して、トップを走るS・K・ホとの差額を知りたがった。
「約2500万円差・・・。周囲も期待しているでしょうし、その準備も整っている。これからじゃんじゃん、勝ち星を重ねていけそうな自信があるからね」。

普段はあまり多くを語らない男が、自身3度目となる賞金王獲りをねらうと公言した。プレーだけでなくその肉声でも、強い伊沢を印象づけた

※文中の賞金ランキングは、海外の獲得賞金を含んだものです。

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