記事

ゴルフ日本シリーズJTカップ 2007

宮瀬博文「人生は何が起きるか分からないから」

出場27人のうち、この1年でもっとも激動の人生を味わったプロといえるかもしれない。昨年の今頃は茨城県で、苦しい戦い。91年に、当時史上最年少の21歳で初シード入りを果たしてから、12年間守ってきたシード権を失った。出場権を取り戻すべく、セントラルゴルフクラブで行われたファイナルQTに出場したが49位に終わり、絶望感すら味わった。

「その俺がいまここにいるんだから・・・」。しみじみと宮瀬は言った。

今年4月の中日クラウンズでツアー通算7勝目を飾りみごと返り咲いた。
その年のチャンピオンと、賞金ランク25位までの選手しか出場できない今大会は、5年ぶり(6度目)にその土を踏み「人生は、何が起きるか分からない」との言葉に実感がこもる。

復活優勝で歓喜の涙を流したあと、予選落ちが目立つのは「スケベ根性を出したから」と、照れ笑いで打ち明ける。勝って複数年シードを手にして余裕ができて、「もっと上を目指したいと、スイングをいじり始めた」。

簡単に言えば、「バックスイングでクラブをインサイドに引く打ち方」。
宮瀬の中では「これまでと180度の転換」にスコアメイクどころではなく低迷が続いたが、いよいよ「今週、ひらめくものがあった」。
しかし、すでに今季最終戦。「もう、終わりじゃね〜かよっ」とひとり突っ込みを入れながらも、この日初日の3打差3位タイスタートには欲が出る。

「最後、良かったねで終わりたい。絶対に勝ちたい」。

そしてチャンスを迎えた今こそ言いたい。
「ゴルフは・・・人生は何が起きるか分からないから」。
今年最後に人生の絶頂期を味わって、昨年の悔しさを完全に払拭したい。

関連記事