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中日クラウンズ 2008

宮瀬博文「良い報告ができるよう…」

気丈に笑顔を振りまいた。前日水曜日の夜10時半に名古屋入りし、この日は朝7時にコース入り。ディフェンディングチャンピオンは悲しみをこらえ、1番ティに立った。

グルリと取り囲むギャラリースタンドに向かって、おどけたしぐさでファンサービスのボールを投げ込むと、出だしの1番、2番で連続バーディを奪って「自分でも来た来た、と思ったけれど…(苦笑)」。

幸先良いスタートに、連覇の予感が漂ったのもつかの間だった。14番で2発のOB。
1ホールで9打叩いて、一時は5オーバーまで沈んだ。

スタートから、ボールが捕まり気味だった。「大事に行こうと思ったら、逆に体が止まっちゃった」。手痛いミスにも、やはり人の良い笑顔は消えなかった。

次の15番、17番で2つ取り返して3オーバーのフィニッシュに、「望みをつないだなという感じ」と胸をなで下ろした。

今週は、みすみす予選落ちするわけにはいかない。
ゴルフの手ほどきをしてくれた父・匡さんを亡くしたのは今週の27日(日)。訃報はつるやオープンから帰途につく車の中で聞いたが「覚悟はしていましたから」。

肺がんが、すでに手の施しようのないところまで進行しているとわかったのが今年2月。
ハワイのパールオープンで、現地に着くなりその連絡が入り、そのままとんぼ帰りしている。

それから、わずか3ヶ月で逝ってしまった恩人は、いつも息子の活躍が自慢だった。一昨年は出場権すら失って心配をかけたが、その翌年にどん底からみごと復活した昨年大会の息子の勇姿を、VTRで繰り返して見ていたものだ。

今週火曜日に通夜、水曜日の告別式で喪主をつとめ、ぶっつけ本番で初日を迎えた宮瀬は、「良い報告ができるように頑張ります」と最後もやっぱり笑顔を浮かべた。



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