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三菱ダイヤモンドカップゴルフ 2007

平塚哲二「大洗が大好きです!」

最終18番、ピン手前6メートルのバーディチャンスは「下って上るスライスライン」。打ちすぎれば3パットの可能性もある。しかし、首位の藤田は通算2アンダー。「ほかのみんなは1アンダー」。平塚ほか谷口徹や広田悟、宮里聖志らが1打差で並ぶ大混戦だった。

抜け出す最後のチャンス。
「…藤田さんに追いつけるのは俺しかいない」と、奮い立たせた。
「3パットしてもいいから、打たなアカン」。強気のパットで最後まで攻めて、「みんながニコっと笑う顔を見たかった」。詰め掛けた満員のギャラリーを、スリリングなゴルフで喜ばせたかった。
ただその一心で、ねじこんだ。

たちまち沸き起こった大歓声には、オマケがついてきた。
グリーンサイドから密やかに聞こえてきた囁き声を、平塚は逃さなかった。
「ミスター・大洗!」。

応援に駆けつけた大親友の矢野東の声だった。

平塚が、劇的バーディを決めた時間と前後して、2つ後ろの最終組の藤田が17番でトリプルボギーを打った、と矢野は教えてくれた。

それを聞くなり、グリーンサイドのスコアボードに目を凝らした。
と、いつの間にか、まだプレー中の中に、通算1アンダーの選手がいなくなっていた。
自分に追いつくチャンスがある選手は誰もいない、と確信できた。

矢野に向かって目を剥きながら、同じ組の金や丸山のジャマにならないように、しきりに口だけ動かした。

「マジで? マジでオレが優勝?!」。

ツアー通算4勝目は、自身初の逆転優勝だった。
4打差からのどんでん返しに「してやったり」と、胸を張った。
前回の2004年に続く今大会2勝目の舞台は3年ぶりに戻ってきた、やはりここ大洗ゴルフ倶楽部だった。
他のトーナメントと合わせても、ここで2勝を上げた選手はほかにいない。
しかも、前回はパー5だった10番ホールが今年パー4に変更されるなど、ますます難易度を増した舞台での快挙に喜びも増した。

「難しい分、1打1打に集中しきれる」。
余計なことは考えず、まずはパーを取りに行くプレーが要求される。
ゴルフの原点を思い出させてくれる。
何より総合力が問われる、と言われるコースでもぎ取った2度目の栄冠に、「大洗が大好きです!」と、しみじみとつぶやいた。

  • 劇的バーディを決めた18番。応援に駆けつけた矢野(左端)に、最終組の状況を耳打ちされて…

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