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バナH杯KBCオーガスタ 2008

甲斐慎太郎「勝つ自信がなかったら、ここにはいない」

11番で、同組の星野英正が短いパーパットを外してボギーを打って、単独首位に躍り出た。途端に甲斐の心はここにあらず。「優勝したら、来週は試合を休んで嫁に会いに行こうかなあ、とか・・・」。

妻・智香さんは、9月に出産を控えている。優勝報告をかねて、「大きくなったお腹を触りに行こうかな、とか・・・」。

まだ3日目にしてそんなことを考えながらのラウンドでは、集中できるはずもない。
12番、13番の連続ボギーは「ぶっちゃけ、優勝を意識したせいです。僕、けっこう妄想するたちなんで・・・」と、照れ笑い。

「まだ1日半もある」と、気を入れ直して再び単独首位。
最終18番で、3メートルのバーディパットを決めて、1打差で躍り出た。

ツアー初優勝がかかるが、「“初”ということへのこだわりはない」という。
「それよりも、ただ一番になりたい。それはゴルフをやっていたら、みんな思うことでしょう?」と、当然といったふうに言う。
「勝つ自信がなかったら、ここにはいない」とも。
記者会見で、いくつか強気の発言を繰り返したが、自身初の最終日最終組に緊張していないわけがない。

それでも、大会の地元・福岡県の沖学園高3年のとき、初めてツアーに出場した思い出のトーナメントで昨年、最終日に自己ベストの64をマークして、10位タイにつけたことが心の支えだ。

また「初日に良いスタートが切れたら、尻上がりに良くなる傾向にある」と自己分析する今季は、5月のパインバレー北京オープンで2位。
さらに、三菱ダイヤモンドカップで2位につけ、早々に初シード入りを確定させた勢いもある。

今季、いちばんの赤丸急上昇は文句なしにこの男。
機は熟した。
「チャンスは、モノにしてこそチャンスという。明日は、3度目の正直といきたい」と、気合いも十分だ。

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