記事
フジサンケイクラシック 2007
石川遼くんが今週のフジサンケイクラシックでツアー2戦目
「特に、若い選手たちが僕と目を合わせてくれない」。
どこかよそよそしくて、哀れみのような視線すら感じる。
理由は、すぐに分かった。前週に宮本が15歳の石川遼くんに1打差で破れて2位に甘んじたばかり。さらにアマチュアには受け取る資格がないということで、優勝賞金2000万円を宮本がそっくりそのまま手にした。そんな複雑な状況が、年下選手に気安く声をかけることをためらわせていたのだった。
しかし遠慮のない同世代の選手たちは口々に言った。
「2位でも“ナイスプレー”って、言っていいのか分かんないよ」。
「・・・ナイスプレーって言ってよ」と、宮本は明るく答えた。
単独2位は、当時の今季自己ベストフィニッシュだったのだから、と。
メディアやインターネットのブログなどで今回の歴史的快挙、また宮本を筆頭にツアープロが揃って15歳に敗れたことについてさまざまな意見が飛び交ったが、どんな形であれそうやって注目されることは、本人にとって喜ばしいことでもあった。
中でも嬉しかったのは、朝の人気ワイドショーの取材を受けたことだ。
「石川くんはどんな選手ですか」と質問されたが、最終日は1日36ホールを消化するために2ラウンドとも同じ組み合わせで行われた。宮本は、本人と同じ組でプレーしたわけではなかったから「それが、知らないんですよ」と答えるしなかったが、メディアの露出を何より歓迎する根っからのプロ気質なだけに、テレビに出られただけでも良かったと振り返る。
そんなふうにして、遼くんがらみで話題にのぼるたびに明るく答えながらも、もちろんこの思いは常に忘れたことがなかった。
「次こそ遼くんにリベンジしたい」。
これまでの4年間で、一番悔しかったことのひとつに「あのとき、遼くんに負けたこと」をあげた宮本にとって、約3ヶ月ぶりの再会となる今週のフジサンケイクラシックは、ようやくその思いを完全払拭するチャンス到来だ。
直前となる先週のKBCオーガスタで完全優勝を達成し「・・・なんか、遼くんと同じ組で回りたくなっちゃったなあ」とこぼしたのは、自信が蘇ってきた何よりの証拠。
本戦直前の28日(火)に誕生日を迎える35歳は、先週のドライビングディスタンスで平均302・14ヤードを記録してランク4位につけて、「まだまだ、ドライバーも若いもんには負けないですよ!」。
今度こそ、ツアープレーヤーの意地を見せると張り切っている。