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ゴルフ日本シリーズJTカップ 2006
横尾要「おもちゃがたくさん買ってもらえると・・・」
「僕は、ここに出てくるような器じゃない」。
ショットは遜色ない。
しかし、パットが決まらない。
「チャンスは一杯あるのに、みんなそっぽを向いていく。ライン読みもそうだし、打つ技術もない。こんなんじゃ、お話にならないよ」。
苦渋の表情を浮かべて、そう話していたがこの日3日目に途端に息を吹き返した。
朝のパッティンググリーンに、大きなヒントが落ちていた。
谷原秀人と矢野東の会話が「たまたま聞こえた」。
2週前のダンロップフェニックス。
予選2日間、タイガー・ウッズと同じ組で回った谷原が矢野に言ったのだ。
「ウッズは、(パットで)常に頭が動かない」。
たった一言に救われた。
この言葉をきっかけに、いつもより背筋を伸ばしてアドレスを取り、頭の位置はじっと我慢。
それだけで、劇的に変化した。
もともとショットが良かっただけに、この日はほとんどピンチもなし。
12番で2メートルのパーパットを残す唯一の危機も、難なくクリア。
ボギーなしの66にも、「もう少し入っても良いくらい」。
自信回復で、最終日を迎える。
今週はコースまで車で約40分。
ツアーで唯一の自宅通勤は、「試合、という感覚がなくなるから。僕はあんまり好きじゃない」というが、この日は大ギャラリーに混じって、妻・房江さん長女・紗千ちゃんの笑顔もあった。
上位でプレーしたときは決まって「パパがテレビに映ってた」と喜んでくれる。
同時に「おもちゃを、たくさん買ってもらえると思っているからねぇ」と、父の顔になって苦笑した。