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住友VISA太平洋マスターズ 2000
▼ トピックス「本当に認めてもらうには、ツアーで優勝しないと…」
急成長中だ。
10月のブリヂストンオープンで5位タイに入り、ベストアマチュア賞を獲得したばかりの宮里優作君(東北福祉大学2年、20歳)。
「あの試合で一皮むけたという感じでした。あれ以来、“どこまで耐えられるか”、から“どこまで伸ばせるか”というふうな、気持ちの変化がありました。あの直後から『自分もやれる』という、自信を感じるようになったんです」
さっそく、成長のあかしを示した。
この日、3日目は9バーディ、ノーボギーの63。芹澤信雄が、10年間守ってきたコースレコードを1打上回り、しかも、ツアープレーヤーに混じって3位タイに食い込んだのだ。
記録更新を決めるラスト3メートルのバーディパットは「下りのスライスライン」。
読みきってヒットした瞬間は、カップインを待たずに腰の脇で力のこもったガッツポーズ。
「(ボールがカップ入って)行く様が見えたんで…(笑)谷口さんばりのガッツポーズが自然に出てしまいました」と照れまくった。
前日まで、ショットの調子はイマイチだった。「ダウンスイングでの下半身の切り返しが早過ぎて曲がっていた」プレー後に調整に向かった練習場。しばらく打っていると、ジャンボ尾崎が宮里君の隣りの打席に陣取った。背後の会話に精一杯、耳を済ませ、スイングをつぶさに観察した。
「バックスイングでクラブがしなったときに、体重移動をしている…なるほど、と思いました。とても参考になった」これで、ショットの立て直しができた。
また、「ショットもさることながら、パッティング」。
初日使ったマレット型が「御殿場の速いグリーンには軽すぎる」2日目からプロトタイプに替えたら、これが当たった。
7月の日本アマのとき「長い距離のパットで、緊張すると強めのタッチで入ってしまう」との悩みを解消するため、握り方をクロスハンドに替えて、好調さも取り戻していた。
ショットとパットが噛み合った。次々とピンを捉え、カップに沈めた。
前日、宮本勝昌があわや、記録更新というニュースを聞いていたから「63がコースレコードというのは知っていました。13番で7つ目を取ってから、“もしかしたら”というのがありました」と宮里君。
16番、17番でのこの日、はじめて迎えたピンチも切り抜けて「やっちゃった…という感じ(笑)。でも、コースレコードは運もある。今日も、膨らませすぎたパットが意外と切れたり、自分が打つとき風がやんだりということがありましたから。それより、ノーボギーでまわれたことのほうが、もっと嬉しい」。
並み居るツアープレーヤーに混じり、最終日は最終組でのV争い。
「最近は、ツアープレーヤーのみなさんからも声をかけてもらえるようになったけれど、本当の意味で認めていただくには、ツアーで優勝しないと無理だと思う」
ふと、もらしたこの言葉が実現するか―。