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マンシングウェアオープンKSBカップ 2008
石川遼「今年は今年の物語が出来上がればいい」
この日水曜日のプロアマ戦。石川とチームを組んだ有賀園ゴルフの有賀明・代表取締役社長が、ホールインワンを達成した。ピッチングウェッジで打った110ヤードのティショットは右横1ピンに落ちて、そのままカップに吸い込まれた。
有賀さんは「今日は遼くんと回れるだけでもラッキーだと思っていたのに。まさか、直接入るなんて二重の喜びです。50年ゴルフをやってきて最良の日」と、声を弾ませたが、石川の喜びようはそれ以上だった。
すぐさま有賀さんのもとに駆け寄ってハイタッチ。そのリアクションは、今年の開幕戦「東建ホームメイトカップ」第2ラウンドの9番パー4で、チップインイーグルを決めたときよりも「何倍も大きかった」と、本人も認めたほどだった。
連覇を狙う大会で、その開幕直前に「縁起がいい」。またこの日は、キャディの加藤大幸さんが、ラウンド中に蛇を見たそうで、「なんだか、すべて整えてくれた感じ」と、ゲンの良い出来事続きに胸を膨らませつつ「でも、それに引きずられたくはない」と、冷静だ。
初日、2日目の組み合わせは立山光広と久保谷健一。昨年、1日36ホールで行われた最終日とまったく同じ顔ぶれなら、「このコースに来たら、なぜかゴルフの調子が良くなる」との感覚も、あのときと一緒だ。
岡山市内の至るところに立つ、大会告知のぼりのキャッチフレーズは「あの感動をもう一度」だ。
その実現は、ファンのみならず本人がもっとも期待するところだが、そのことばかり意識しても良いことはない。
「たとえば去年は毎日、昼寝をして勝った。今思えば、それが良かったのかもしれないとは思うけど、だからといって、去年のマネをしたってダメなわけで。今年も、あとから考えてあのホールインワンが良かったんだ、とか…今年は今年の物語が出来ればいい」。
本戦を目前に、周囲のお膳立ては整った。
「それが悪いほうへ行くのか、良い方へ行くのかは自分次第。良い方へ行くように頑張るだけ」ときっぱりと、「ファンを感動させるのが最高のアスリート。それが出来た去年の自分を尊敬するが、ほかにも感動は何億とおりもあるから。今年は、また違った感動を目指してやりたい」と、石川。
もし連覇を達成したとしても、それは昨年の再現ではなく、新しいドラマの誕生だ。