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<シリーズ>ツアープレーヤーを支える人々伊澤利光のマネージャー・前村さん夫妻
父親の影響で小学生のころからゴルフに慣れ親しんできた麻衣子さんが、トーナメントで初めてバッグを担いだのが20歳のとき。
その間、多少ブランクはあるもののプロキャディ歴は10年以上になる。
「年数だけで言うなら、佐野木(計至)さん(ジャンボ尾崎のエースキャディ)の次に私かな、というくらい。いつの間にか、古株になってしまいました」と笑う。
そんな麻衣子さんが、直昭さんと“職場結婚”したのが2002年。
以来、夫婦キャディとして活躍してきた。
昨年は、直昭さんが8月のアンダーアーマーKBCオーガスタで伊澤の777日ぶりの復活優勝をサポートすれば、麻衣子さんが1年間バッグを担いだ高島康彰は、42歳にして初のシード入りを果たした。
ツアー屈指のプロキャディとして、揃って“才覚”を発揮する2人が、今年またひとつ新たなスタートを切る。
2月に、伊澤を筆頭としたシード選手を抱えるマネージメント会社「JOYX(ジョイックス)」を設立。
「試合当日のマネジメントだけでなく、日ごろの健康管理に至るまで、幅広くサポートしていくことで、選手のみなさんがよりプレーに集中できる環境を作っていけたら」と、展望を語る直昭さんは、このほど同社の代表取締役に就任した。
妻・麻衣子さんは当分の間、キャディの仕事を休業し、夫のバックアップに専念する。
「JOYX」では設立と同時に、眼科医や税理士、社会保険労務士、司法書士など各専門分野の“プロ”と専属契約を結んだ。
それは、「現役時代はもちろん、選手のみなさんが引退後も安心して生活が送れるように」(麻衣子さん)との配慮から。遠征中の交通、宿泊など雑務はもちろん、将来設計も含めたトータル的なアドバイスが送れるよう体制を整えてある。
夫婦二人三脚のマネージメント業は、4月の開幕からいよいよ本格的に始動する。
「JOYX」の“看板プロ”でもある伊澤の今季の目標は、もちろん、自身3度目となる「賞金王」の座だ。
さらには、2001年に日本人として最高位の4位に入ったマスターズトーナメント。
「・・・また、あの舞台に立ちたい」と伊澤は言った。
それは同時に、前村さんたちの夢でもある。
直昭さんは今年、社長とキャディ業を兼任することになる。
これまで以上に多忙なシーズンとなるが、「伊澤さんと一緒に、夢に向かって進んでいけたら最高です!」。
例年以上に、歩幅を合わせて歩いていく覚悟だ。
写真上=右から前村直昭さん、伊澤、前村さんの妻・麻衣子さん。今年は夫婦2人で伊澤を支えていくことになる。
写真中=前村さんは、伊澤のオフトレーニングにも付き添い手厚いケア。
写真下=兵庫県西宮にある「JOYX」の事務所は、ゴルフ練習場やレストランなどが併設されたプレーヤーズサロン「Notes」内にある。練習場にはヘッドスピード測定器なども設置されて、選手の気が向いたときに、いつでも球が打てる環境だ。