記事
モトローラ・インターナショナル最終日
昨シーズン、アジアと欧州、米、日本で計39試合に出場したインドのジーブ・ミルカ・シン。
まさに世界を股にかける戦いは、日本ツアーでの2週連続優勝を含む年間4勝。
「あいつは、本当にタフなやつだよ」と、しみじみと口を揃えた立山光広も、以前アジアンツアーで戦っていた時期がある。
それでも、久しぶりの参戦で改めて思い知らされたのは、「去年のジーブが、いかに凄かったかってこと」。
毎週のように国境を越える移動のわずらわしさ。慣れない環境。毎週、違う顔ぶれ。違う国の言葉。
ゴルフ以外に、気を遣わなければならないことは山ほどある。
特に立山には今週、インドネシアの強烈な日差しが堪えた。
もともと肌があまり強くないせいか、腕にいくつも大きな水ぶくれが出来た。
海沿いの最終18番パー3で、ピン左1メートルのスーパーショット。
バーディで締めくくり、どうにか通算4アンダーにしたものの、「本当に、もうクタクタだよ。でもジーブは、このあと平気な顔で日本に来て、そのあとヨーロッパに行って…なんてやっていたんだな。それでなおかつ、結果を出したんだと思うと、本当に頭が下がる思いがする」。
昨年1年間で、獲得賞金2億円を超えるジーブの活躍ぶりは、百戦錬磨のたまものだった。
立山が、誰に言うともなくつぶやく。
「俺たちも、見習わなくちゃいけない・・・」。
今週、通算1アンダーで終わった塚田好宣は「日本では、まだまだアジアンツアーを低く見ている選手が多い」と言った。
確かに、全体のレベルは米、欧、日よりも劣るかもしれない。
しかし、長くアジアでプレーしてきた塚田は言う。
「トップの選手たちは、日本にヒケを取らない。むしろ、日本より上かもしれない。世界には、ほんとうに凄い選手がたくさんいるんです」。
たとえば、タイのチャプチャイ・ニラット。
先週の欧州とアジア共催のTCLクラシックのチャンピオンは、昨年の日本ツアーのQTに失敗している。
「でも、そんな選手でもアジアで頑張れば、欧州の出場権を取ることもできる。世界に目を向ければ、チャンスはどこにでもある。もちろんその分、いろんな煩わしいことがあって。日本だけでやっているようなわけにはいかない。それでも、どんな環境の中でも勝ってみせるという気持ち。アジアンツアーは、そういう逞しさが身につく場所。僕も、いつかここで勝ちたい」と、塚田は言った。
選手たちの胸に、さまざまな思いをもたらしたアジアンツアーのモトローラ・インターナショナル。
今大会は、来年以降のアジアと豪州と日本の3ツアー共催にむけて、準備が進められているトーナメントでもある。
連日、気温30度を超えるタフな4日間。それでも、戦い終えた日本勢はみなどこか満ち足りた顔で口を揃えた。
「ぜひ、来年には共催を実現させて欲しい。来年も、またぜひ出場したいから」と。