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マンダムルシードよみうりオープン 2006

増田伸洋がツアー初優勝!!

サスペンデッドになった前日3日目の第3ラウンドの残り5ホールをひとまず終えて、首位タイに立った時点で予感があった。
引き続き行われた最終ラウンドで、「今日は、15アンダーまで行く」。
そして、初優勝を手に入れる。

自信があったから、1打差2位タイにつけた谷原秀人にもそう宣言したのだ。

果たして、14番で5メートルのバーディパットを決めて通算15アンダー。
直後の15番で、深いラフからのアプローチが寄せ切れなかった。7メートルのパーパットが残ってしまった。
キャディの進藤大典(だいすけ)さんは、「ちょっとフック」と読んだ。
構えた瞬間、「大典の言うとおり、しっかり打てば入れられる」と、なぜだか思えた。
同時に「これを外したら俺は負けるだろう」と、覚悟を決めた。
ど真ん中からセーブしたとき、はじめの予感が確信に変わった。

進藤さんと「17番までは、絶対に(スコア)ボードは見ない」と決めていた。
練習ラウンドで、「最終日、ここで2打差のトップだったら大典ならどうする?」と、なかば冗談で話し合ったのもこのホール。
進藤さんは、迷わず答えたものだ。
「次の18番は、絶対に3番アイアンを持たせますよ」。
そんな戯れが、いま現実になった。

韓国のY・E・ヤンが、2打差の2位でホールアウトしていた。
まだ、後ろの組でプレー中だった平塚哲二、宮里優作が5打差の3位タイ。
最終ホールは、最低でもボギーで上がればいい。

進藤さんは、増田にきっぱりと「命令」をした。
「3番アイアンで、行ってください」。
作戦どおり安全に刻んで、1打差で逃げ切った。

はじめてクラブを握ったのは18歳のとき。6つの大学から誘いを受けたほど才能溢れるラガーマンが、一念発起でプロゴルファーになると決めた。
それから14年後に、ようやくつかんだ頂点だ。

「まずひとつ勝たないと始まらない。この世界では認められない」と、努力に努力を重ねてきた日々。
「・・・この瞬間を味わうために頑張って来たから。本当に嬉しい!」。
久しぶりにのぞいた青空を、笑顔で仰いだ。

  • 高田孝治・讀賣テレビ代表取締役社長より受け取ったチャンピオンブレザーは仲間の手で18番の池にはめられる直前に脱いでたたんでおいた。
  • 西村元延・マンダム代表取締役社長執行役員から受け取った副賞のルシード1年分「これでますます良い男になります!」

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