記事
サントリーオープンゴルフトーナメント 2007
35回大会は多くの人々に惜しまれつつ・・・
「小さいときから、毎年見に来てたんです。なくなってしまうなんて、本当に寂しい」。
会場の総武カントリークラブは自宅から車でわずか20分もあれば着く。
成人し、結婚してからは母・律子さんと連れ立って、娘の愛ちゃんと応援に来るようになると、父はことのほか喜んだものだ。
1973年の第1回大会から年々発展を続けてきたサントリーオープンは中嶋家にとって、まさに家族の成長を写す鏡だった。
今年、最後の35回大会ものべ800人を超えるボランティアのみなさんが運営に協力してくださった。
習志野カントリークラブの時代から数えて12年連続で参加してくださったのは、地元・印西市の小林正義さん。
スコアラーとして選手のプレーに帯同していた途中にトイレに行きたくなり、きゅうきょ3ホールだけアルバイトの学生に交代してもらった笑い話がある。
ラウンド後に選手たちがくれるボールは年々増えて「今では家中に転がっている」。
大会の思い出を語りだしたら、山ほどある。
「サントリーオープンは、ボランティアで参加する唯一のトーナメントだった」という小林さんにとって毎年、この大会に来ることが健康のバロメーターでもあった。
「それは、ゴルフと同じでね。年齢も70歳を超えるとね、参加できるということそれ自体に大きな意味があったんです」と小林さんはいう。
来年から年に1回の楽しみがなくなって「寂しいねえ」と、複雑な笑顔を浮かべた。
丸山茂樹と谷口徹、谷原秀人の最終組が最終ホールを迎えると、総武カントリークラブの18番ホールが白く煙った。
この日最終日に駆けつけたギャラリー9681人が舞い上げた土ぼこり。
今年は、大会2日目が中止になったにもかかわらず、のべ1万8860人のギャラリーが訪れた。
「これが、最後の大会だと思うと本当に寂しいです」とのチャンピオンのスピーチにならって、満員のギャラリースタンドから声が飛ぶ。
「やめないで!」。
「また、いつか帰ってきて!!」。
多くの人々に惜しまれながら、35年の歴史はひとまず幕を閉じた。