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ANAオープン 2008

矢野東が単独首位に

3打差の2位で忍び寄る片山晋呉は、「追いかける立場のほうが楽」と言ったが、矢野の考えは少し違う。
「最終日はストローク差があったほうが、絶対に有利だと思う」。
先の2戦で痛感した。
8月のバナH杯KBCオーガスタは3日目に2打差の3位タイ。
次のフジサンケイクラシックは、3打差の5位タイ。

逆転Vをもくろんだがけっきょく追いつけず、「スタート前のストローク差はアドバンテージになる。やっぱり、最初に自分がリードしていないと勝ちづらい」と、思い知った。

だから、今回は確信している。
「逃げるほうが、絶対に有利だと」。
後ろに控えるのは永久シードのツアー通算25勝目を狙う選手だ。
「日本一のプレーヤー」と、承知している。
「誰よりも強敵」とも。

それでも、あえて断言できる。
「今の自分の調子を考えれば、相手が何であろうと普通どおりゴルフすれば勝てるはず」。
淀みなく言い切った。

2005年のアサヒ緑健よみうりメモリアルでツアー初優勝をあげたが「あれはフロックだった」と振り返る。
あのときは、最終日の15番から3連続バーディを奪って一気に抜け出した。「だから、プレッシャーを感じたのは残り2ホールくらい。何がなんだか分らずに勝った」。

しかしあれから3年。内藤雄士コーチから受ける指摘はちかごろ激減し、今年7月には全英オープンでメジャーに初挑戦。
今年は単独2位を含む4度のトップ10入りを果たし、まして今週はショットも、課題のパットも絶好調ときているだけに「今はいろいろ経験もして、過去の自分よりも自信がある」と言い切れる。
「常に上位にいて優勝争いをするのが本当に強い選手」。
理想の自分に、近づきつつある。

前回の優勝と違い、すでにプレッシャーはこの3日目を終えた時点から始まり、翌最終日の18ホールが終るまで続くことが予想されるが「今度こそ勝つ」。
そして、次のツアー2勝目がまぐれではないことを証明してみせる。



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