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ツアープレーヤーたちのオフ報告

昨年の賞金ランクで71位につけて、初シード入りを果たした井上忠久(=写真)が、いよいよ本格始動だ。今月15日から、気候の良い沖縄で約2週間のトレーニングに励んだその足で、今週28日から宮崎入り。フェニックスカントリークラブで、ラウンド合宿に入った。

今年になってすでに数回、コースを回ってはいるが、それも地元・大阪の近隣コースでの軽い調整程度。
本格的なプレーは、今週が初となる。
「ここでしっかりスイング作りをしたい」と、張り切っている。

この合宿の先導を切るのは賞金王だ。
井上のコーチの堀尾研仁さんを介して、谷口とラウンドするようになったのは一昨年前のオフのこと。
その中で、コースマネジメントやゴルフに対する考え方を、谷口から徹底的に叩き込まれた。

「おかげで、僕のゴルフは劇的に変わったと思う」と、井上は振り返る。

中でも印象深いのは、谷口のこの言葉だ。
「ゴルフだって、塵も積もれば山となる」。
つまり、特に目立った成績をあげられなくとも焦らずに、毎試合で確実に予選通過を果たし、1打1打を大切にコツコツと賞金を稼いでいく。「シードはその積み重ね」と、谷口は折に触れて言ったものだ。

確かに、ファイナルQTランク13位の資格で参戦した昨年の井上は、フジサンケイクラシックの15位が最高だった。トップ10こそなかったが、谷口のアドバイスを胸に、予選落ちを最小限にとどめられたことが大きかった。

初シード入りを決めた昨年のカシオワールドオープン最終日。
「照れくさくて面と向かっては言えないけれど。谷口さんには本当に感謝している」と、井上はしみじみと言ったものだ。

そんな恩人との橋渡しをしてくれた堀尾コーチは昨年末に大病を患い、シード権争いの合間に井上も大いに心配したものだが、今は地元でレッスン再開できるほどに回復している。
今年もまた堀尾さんのサポートを受けながら、さらなる飛躍を目指す。

この“シード元年”に、井上が狙いたいのはやはりツアー初優勝。
今年、プロ10年目。
本人いわく、初シードまでの道のりが「思いのほか遠かった」だけに、節目の年に一気に花開きたいところだ。

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