記事
ダンロップフェニックストーナメント 2005
田中秀道、2年ぶりの日本ツアー
先週、10日に帰国してから喉の痛みがひどくなり、この日水曜日のプロアマ戦でも、しきりに咳を繰り返した。
苦しそうに胸元を押さえながら「・・・もう、咳疲れ(苦笑)。このへんが痛くって」と、かすれ声で顔をしかめた。
今年4年目の米ツアーは、最後まで苦しんだ。「これまで3年間の経験を生かそうとしたけれど・・・年々、レベルアップする米ツアー。過去の経験はまったく、役に立たなかった」。
結局、ギリギリまで引っ張った。
最後の残り4試合のうち、2試合でトップ10入りして土壇場で4年連続のシード権を決めた。
「そういう意味でも今年は、メッセージらしいメッセージを送れていなかったから・・・」。
日本でも良いところを見せておきたくて、きゅうきょ今大会への出場を決めたのに。
「体がこんな状態で・・・」と、済まなそうに頭を下げた。
しかし一方で、「良いスコアを見せることだけがすべてじゃない」という思いもある。
この日も、コースのいたるところで田中を囲む人の輪ができた。
帰国を待ちわびる人たちの期待に精一杯、答えようとした。
ホールアウト後は長い行列がなくなるまで、サインペンを走らせ続けた。
それは、日本を飛び立つ前の姿のまま。
4年間留守にしていても、何よりファンを大切する姿勢は変わっていない。
「今週は、体調が悪くても必死に食らいつく姿を見てもらえれば。それで、一人でも何かを感じてくれるファンがいれば、帰って来た意味がある」。
“女子ツアーに押され気味の男子ツアー”
そのフレーズは海を超えて、田中の耳にも入ってきた。
「男子は盛り上がっていないように言われているけど、それは絶対に違う。分かっているだけに、そんなふうに言われていることが凄く悲しかった」。
自分ひとりができることなど「たかが知れているが」と、前置きしつつ「とにかくこの4日間、良いゲームをして良いニュースを伝えていきたい」。
今週、田中が“救世主”となるか。