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カシオワールドオープン 2008
河瀬賢史は5位タイに「最後のチャンスを生かしたい」
今週のグリーンは難解で、戸惑う選手も多いが前半の12番もその影響か。
わずか2.5メートルを3パット。ボギー先行の嫌な流れはしかし、すぐに強い気持ちで断ち切った。
15番からの連続バーディで波に乗った。
3アンダーは、5位タイスタートにも浮かれることなく心に誓った。
「また明日から、気を引き締めてやる」。
ファイナルQTランク30位の資格でツアー本格参戦を果たした今季は、初日にそこそこの順位でスタートするものの最後に崩れる。
そういうパターンが続いて悟った。
「それは自分の気持ちが弱いせい。だから上に行けない」。
父・泉さんにも、応援に来るたびに「お前はいつも、初日だけだ」と言われた。
14年前に脳梗塞で倒れ、車いす生活を続けながらも「動けるうちに、いっぱいお前のゴルフを見ておきたい」と、わざわざ静岡県の実家から遠く北海道のトーナメントまで足を伸ばしてくれた父に、「良いところを見せたい」。
その気持ちが空回りしたのも原因のひとつにあったかもしれないが「やっぱりそれは、自分が弱いせい」と確信している。
今季は開幕戦の16位が最高で、現在賞金ランクは86位(776万4571円)。
逆転の初シード入りには今週、単独4位以上が条件だ。
10月の28日から4日間の日程で、栃木県の太平洋クラブ&アソシエイツ 益子コースで 行われたクォリファイングトーナメントのサードステージは、10位タイで楽々クリア。
そのあと3週間はたっぷりと休養に充て、連戦の疲れを癒した。
満を持して迎えたこの最後のチャンスを「ぜひ生かして上位に踏みとどまりたい」。
今年味わった苦い失敗は、絶対に繰り返さない。
河瀬賢史(かわせまさふみ)
1979年10月28日生まれ、静岡県出身。サッカー、バスケット、陸上。中学はバレー。プロスポーツを目指したが、身長167センチも「これならなんとかなる」と、叔父の薦めで11歳から始めたゴルフの道へ。
名門・日大で腕を磨いたあと、2002年にプロ転向。
家族は妻と長男の3人。父親の泉さんが元気なころは、一緒にラウンドすることもあったが河瀬が15歳のときに大病を患った今は、もっぱら息子の好成績が泉さんの生き甲斐でもある。