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フジサンケイクラシック 2003

トッド・ハミルトンが母の日に最高のプレゼント

ハミルトンには何度もツアーでの、またここ川奈での優勝のチャンスをフイにしてき た過去があった。
93年の今大会で2位、94年は6位タイ、95年には4位。また、96年大会はブライアン・ ワッツにプレー オフの末、破れている。
“勝利の女神”に見放されるほどに、次の優勝争いではプレッシャーが倍になってハ ミルトンに襲い かかった。

昨年5月のマンシングウェアオープンKSBカップでは、プレーオフ4ホールの末、久保 谷健一に負けた 。日本ツアー通算7勝もの実力者が、この5年もの間、苦しみもがきつづけた元凶は、 本人の心の中に あった。
「いちど成功して頂点を知り、良い思いをした人間がちょっとの食い違いでうまくい かなくなったと き、その苦しみは倍以上に感じるものです。『もういちどあのときのようにやりた い』と思うほどに 、うまくいかない。ショット、パットがスコアと噛み合わない。思うとおりに出来な いことが、こん なにもつらいことだったとは・・・」
そんなつらい日々も、「いつか」を信じて頑張ってきた。 このオフには、テキサス州のヴァッケロゴルフコースで、ワッツやブラント・ジョー ブ、ジャスティ ン・レナードら、米ツアーで活躍する選手たちにまじってラウンドして技を磨いた。
緊張しやすい性格を鍛えようと、練習時から試合のように集中してプレーするように した。 プレッシャーがかかってくると、知らず知らず噛み方が早くなってくるプレー中の チューイングガム をバロメーターに、どんな場面でも「リラックス&エンジョイ」を心がけた。
「そうして最後には、これまで一生懸命に頑張ってきた自分を信じられるかどうか。 今日は、ほんと うに最後まで、楽しみながらゴルフができたんです」
もともと、米ツアー参戦への足がかりとしてやってきた日本ツアーだ。
もちろん、その目標は37歳になった今でも変らない。いずれは、妻・ジャクリーンさ んとタイラー君 にケイリーちゃん、そして先月18日に生まれたばかりのドレイク君ら、家族が待つ母 国のツアーで戦 うのが夢だ。
イリノイ州に住む父・ケントさんと母・ジェーンには、いつもこう言われている。 『お前がアメリカで戦っているところを、母さんたちに早く見せてちょうだい』
今年のフジサンケイクラシック最終日の11日は“母の日”。「この特別な日に、いつ も励ましてくれる母さんには心からあ りがとうを言いたい」 大粒の涙もそのままに、ハミルトンははるかかなたの海に向かって呼びかけた。

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