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〜全英への道〜 ミズノオープンよみうりクラシック 2008

矢野東は初のメジャー切符に「お金の計算で大変です」

表彰式で席を並べたチャンピオンの肩を、わざと恨めしげな目をしてチョコンとこづいた。「やってくれたな」という表情から、悔しさがこぼれ出ていた。念願のツアー2勝目は、本当にもう目前だったのだ。

マークセンとは予選から4日間とも同組で回り、好調なのは分かっていた。
先の三菱ダイヤモンドカップでツアー初優勝をあげたばかりで、勢いがあるのも頷けた。
「初日からショットもパットも絶好調。彼にはスキがなかった」というが、矢野にもつけいるチャンスはあったのだ。

12番から4連続バーディを奪われて、一時は2打差がついたもののマークセンは16番で絶好のチャンスを外した。さらに17番は、「パーパットがスパイクマークに弾かれた」そうで、ボギーでいよいよ並んだ。

しかし迎えた最終18番で、とどめを刺された。
残り205ヤードの第2打でピン右奥と距離を残した矢野に対し、マークセンはピンそば1メートル。

矢野には、実はそのマークセンの第2打が「ダフった」ように見えたという。
実際にはミスショットではなく、計算され尽くされたスーパーショットだったにもかかわらずだ。
それだけに「手前のバンカーに入ったと思って行ってみたら…。そりゃねーよ!!」。

打ち上げのグリーンはピンの根本が見えず、仰ぎ見ていた矢野には、ピンそば1メートルに寄ったショットが確かにそのギリギリのところに落ちたように見えたのだ。

全英オープン日本予選最終戦で単独2位につけて、初のメジャー切符を手にしたことは嬉しいには違いないが、悔しさも募る。

連日、濃霧で競技が遅れた4日間。
波乱の中で、初日から2ラウンドで首位に立ち、「本当は今日は第3ラウンドの残りも、最終ラウンドも出来ないだろうと思っていたんです。…いや、今日はいっそやらないでくれ、という気持ちだった」と正直に明かした胸の内。
あくまでも目標は優勝だっただけに、悔しさばかりが先に立つ。

だから、全英オープンについて、今はまだ熱心に語れない。
「イギリスはまったく経験がないのでとりあえず、行ってみてから。体調だけは万全で臨みたい」とそつのない言葉で意気込みを語りつつ、「自分の分の航空券と、キャディと、コーチの内藤さんの分と…。お金の計算が大変です」と、冗談で笑わせていた。

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