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母校の生徒児童たちと一緒に <矢野東>

スナッグゴルフの寄贈は、2003年以降に社団法人 日本ゴルフツアー機構とプロゴルファーによる寄贈実績を含めると168セット相当に当たるが、群馬県の小学校に寄贈されるのは今回が初めての事。

ランチャーやローラー、ランチパッドなど、子供たちは見慣れない道具や初めて体験するスナッグゴルフに興味津々で、先生役の矢野の指導をしっかり聞き、真面目に全力でプレーした。

「子供たちが思った以上に楽しんでくれた」。

それが矢野にとって何よりの喜びだった。スナッグゴルフ・スクールセットを寄贈したことによって、ゴルフを理解して貰おう、ゴルフ人口を増やそうというつもりは毛頭ない。子供たちに望むことはたった一つ。情操教育に役立つ“スナッグゴルフというスポーツを楽しんでくれること”。子供たちにスポーツの楽しさを伝える環境を作ることが第一優先。その上で、「プロゴルファーが行く事によって、伝わりやすかったり、盛り上がったりすると思う。そこに僕が呼ばれるのであれば、いくらでも協力しますよ。」と話す。

午前中の贈呈式の壇上で、神道良則校長先生は子供たちに「自分たちの先輩を目一杯自慢して下さい。」と語りかけた。2008年における矢野の飛躍は誰もが知るところだ。年間ツアー2勝、賞金ランキング2位、獲得賞金1億円突破、10試合連続トップ10入り等など。しかし、その言葉の意味合いは、何も成績だけを指しているのではない。矢野が子供たちと接する姿から感じ取れる人柄や性格の全てが含まれているのだ。

お昼休みは図書室に移動し、5・6年生と一緒にお待ちかねの給食の時間。朝から一番楽しみにしていたと言う矢野は、大盛りに盛られた筍ご飯をペロリと平らげた。また、子供の頃は一切飲めなかった牛乳も飲み干し、見事に完食。
その後は、子供たちが遊ぶ姿に誘われ、たまらず校庭に飛び出した。サッカーやドッチボールなど次々参加し、スポーツ万能な一面を披露した。矢野のサプライズな登場に、今まで教室にいた子供たちも駆け出し、輪に加わっていた。

午後からは、タイトル『夢』と題し、子供たちに夢を叶えることの重要性を説いた。

勉強が嫌いでスポーツ一色だった小学生時代。
スキーに始まり、水泳やサッカー。学校のクラブ活動で入部していたチームでは、よく点を取っていたことから「ヘディングの王様」という異名も持ったほどだ。
そして、講演した子供たちと同じ10歳の時には、今の職業のゴルフにも出会えた。だからこそ分かるのは、何を目指すにしても努力をすることの大切さ。
子供たちにこの事を分かって貰うため、順序立てて丁寧に説明する事でグッと理解力が深まるという。

夢を持つことで苦労や努力も楽しくなる。
たとえば、子供たちから飛び出した社長になるという夢。
では、社長になるためには何が必要か。何歳までに何をしていないといけないか。それを考えると、自然とやるべきことも見えてくる。
その重要性を伝え、30分以上の特別授業は幕を閉じた。

自身でも「本人は努力も練習もあまりしていない意識があったけど、今日こうやって振り返っているとあの時は死に物狂いでやっていた」事を思い出した。
「プロセスが重要だと子供たちに説明しているときに、自分に良い聞かせるようにしてました」と、オープンウィーク中の良いリフレッシュになったようだ。

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