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日本オープンゴルフ選手権 2010
石川遼は「優勝しか見えない」
最終日に19歳と1ヶ月を迎える石川は82年ぶりの快挙達成にむけて、準備も万端、整った。
この日、水曜日は公開練習日で本戦直前にもかかわらず、大ギャラリーを引き連れての下見ラウンドとなったが「やるべきことが出来た」と、無数の携帯カメラを向けられる状況にも、集中力が途切れることもない。
特に、グリーン回りや、フェアウェイ両サイドのラフの深さや密度、長さをくまなく見て回ったという石川は、改めてひとつの結論に達した。
今週も「フェアウェイに行った回数や外した回数を気にせずにやっていく」。
今年の会場の愛知カンツリー倶楽部は2007年の日本アマで回った経験があるが、当時のセッティングと比べてみても、特にフェアウェイは格段に狭く、それは「もともとのレイアウトでも十分難しいのだから、さらに狭くしてまで難しくしないでも」と、石川も思わず絶句したほど。
しかも、たとえば左ドッグレッグの3番ホールはなおかつ左から右へ傾斜しており、たとえフェアウェイを捉えても、不運なキックで結局、ラフに転がり込む危険を、かなり高い確率ではらんでいる。
「どれだけ選手が苦しむかは見え見え」と、それほどの難条件は承知の上で、石川は攻めの姿勢を貫く構えだ。
「この3年間、いろいろと経験して感じて、自然とレイアップするように変わってきた」とはいいながら、0番や2番アイアンなど「ドライバー以外のクラブでティショットを打つのはアウトの2番、3番、6番」と、3ホール程度にとどまる。
石川にとって、怖いのは狭いフェアウェイでも、ラフでもない。
「次の試合でドライバーの飛距離が落ちたり、スイングが縮こまってしまうこと。予選落ちや、結果どうこうよりも、自分の状態を良くして行くためにどうするかを常に考えていますので」と、それがどんな舞台であっても目先の成果より、もっと遠くを見据える視線は変わらない。
それの次に続くものとしては、最年少記録とか、19歳のこわだりもそこにはない。「小学生のころからずっと、優勝以外は意味がないと思ってやってきた。目標も何位内とかではなく、すべてのトーナメントで優勝、もしくは優勝争いを目指してやってきた。それは、今も変わりません」。
心にただあるのは、「優勝したい気持ちと、良いプレーへの探求心」。
ひたすらそれを追い求めた先に、ゴルファー日本一の称号が待っている、という考えだ。