Tournament article
The Championship by LEXUS 2010
連覇を狙う、武藤俊憲
秋から夏へ、開催時期が移動したことから、ゲームの様相は一変しそうだ。
昨年覇者の武藤俊憲も、警戒心を強める。
「ラフは、昨年より明らかに成長するはずだし、梅雨時期で重くなる」。
もともと、シビアなセッティングは季節柄も加わって、ますます厳しくなるはずだ。
「まずはフェアウェーをキープして、確実にグリーンに乗せて…という丁寧な作業がより大切になってくる。1ホールも気が抜けない戦いになると思う」と、予測する。
そして、そんなプランを実践出来る自信も、今はある。
課題のパッティングが絶好調だ。
先月は3週間、戦線離脱したことが、怪我の功名だった。
6月のダイヤモンドカップは最終日を9位タイで迎えながら、スタート30分前に、無念の棄権。
決勝ラウンドで、しかも、トップ10の選手がプレーを取りやめるなど、めったにあることではない。それほど状況は深刻だった。
朝、起きたら左親指の付け根が、パンパンに腫れ上がっていた。
「グローブも入らない」。
もちろん、クラブも握れない。
小林トレーナーと、ツアー専属の成瀬克弘トレーナーの渾身の治療を受けたが、あまりにも時間が足りない。
大事を取るべきと、2人の意見が一致した。本人にも異存はなかった。
すぐに地元・群馬の主治医に検査を受けて、「軟骨の石灰沈着」との診断が出た。
注射と、あとは1週間ひたすらアイシングの治療を続けた。
「再発の可能性はない」との診断も、そのあとさらに2週間の安静を取った。
ショット練習が出来ない分、パットに時間を費やした。
試合に出られないのは痛かったが、棄権した週の練習日に指導を受けた、パッティングコーチのデイブ・ストックトンのアドバイスをさらに、かみ砕くには十分な時間が持てた。
そのほか余った時間は、読書に費やした。
タイトルは、ずばり「望みをかなえる脳」。
脳神経外科医の林成之氏が語る、夢を実現するプロセスは、どれも納得することばかりだった。
「いきなり優勝、ではなく目の前のことを1つ1つこなし、積み上げていく。それがいかに大事かということが、書かれてあった」。
胸に深く刻んで、ミズノオープンよみうりクラシックから満を持して復帰した。
その2週目に、さっそくV争い。
「トーシンゴルフトーナメント イン レイクウッド」は3日目の第3ラウンドで66をマークして、「これだけ充実してゴルフが出来ているのは、久しぶりです」。連覇を狙う今大会を目前に、明るい兆しだ。
愛車もレクサスという、無類のマニアは本戦を前に「準備も万端。コースも、雰囲気も大好きな大会で、また勝ちたい」と、開幕のときを待ちわびている。