Tournament article
中日クラウンズ 2010
上井邦浩が自身初の単独首位に
難コースでボギーなしの5アンダーをたたき出し、自身初の単独首位に踊り出た。
ショットの不振で先週は予選落ち。
思いあぐねて今週火曜日に、相談を持ちかけたのは芹澤信雄だ。昨年春から正式に“チーム入り”。オフ合宿に参加したり、以前にも増してひんぱんに教えを乞うようになった恩人が、即座に難点を言い当てた。
「良いときに比べてアドレスに張りがない」。
先週優勝の藤田寛之と同様に上井もたちまち不安が吹き飛び、「久しぶりに良い感じで」。開幕を待ちわびた初日早朝の“ハプニング”も、地元・名古屋の著名な整体師に治療を受けたら、がっちりロックしていた首も、どうにか戦えるまでに回復出来た。
転んでも、ただでは起きないしぶとさで好発進した。
地元の名古屋商科大時代は同校の練習コースで、現在の所属コースでもある三好カントリー倶楽部よりも、ずっと多くのラウンドをこなしてきたのが、ここ和合だ。
以前は実家からわずか2分。引っ越しをしたあとの今でも車でたった20分と、まさに“庭”ともいっていい舞台で行われるこの中日クラウンズは、思い入れの強い大会でもある。
初出場は、大学2年のときだった。
1番のパー4で、いきなりチップインイーグルを記録した。
「アプローチが入ってしまって。あのときは、さすがに舞い上がりましたね」。
あれから、アマチュア時代を合わせて9度の出場。
同時に、コースの洗礼も嫌というほど受けてきた。
「ショートゲームが大事なイメージ。昔は通用しなかった」と苦笑いで振り返るが、シード2年目の今年はオフの取り組みも完璧に、「そろそろ」と密かに胸に期するものがある。
1月は、チーム芹澤のハワイ合宿。2月、3月は谷口徹と片山晋呉の宮崎合宿にも参加。
どこでも積極的に先輩陣に質問をぶつけ、芹澤には「持ち味の飛距離を今年は生かせ」とのアドバイスをもらい、谷口にはプロとしての生き様を学び、片山には弱点のバンカーやアプローチを熱心に教わった。
まさに、おいしいとこ取りのシーズンオフに、「良いものをいっぱい吸収出来た。僕は本当に恵まれています」と、しみじみと語ったが、もはや感謝しているだけでは物足りない。
「最近、ちゃんと練習しているのか」と、近ごろ疑いの目を向けられることもある地元ファンの期待に応える、絶好のチャンス到来だ。